建設業については、現行の労働基準法上、いわゆる36協定で定める時間外労働の限度に関する基準(限度基準告示)の適用対象外とされていますが、「働き方改革実行計画」において、一定の猶予期間を置いたうえで時間外労働の罰則付き上限規制の一般則を適用することとされていました。
こうしたなかで公共・民間含め全ての建設工事において働き方改革に向けた生産性向上や適正な工期設定等が行われることを目的として、「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」(平成29年8月28日)が策定されました。
時間外労働の上限規制の適用に向けた取組
(4)下請契約における取組
○ 下請契約においても、建設工事に従事する者が時間外労働の上限規制に抵触するような長時間労働を行うことのないよう、週休2日の確保等を考慮して、適正な工期を設定するものとする。
下請は、工事着手前に工程表を作成したうえで、工事の進捗状況を元請と共有するなど、工事の円滑な施工を図るものとする。
また、予定された工期で工事を完了することが困難と認められる場合には、元請・下請双方協議のうえで、適切に工期の変更を行うものとする。
○ 適正な工期の設定に伴い、労務費、社会保険の法定福利費や安全衛生経費などの必要経費にしわ寄せが生じないよう、法定福利費等を見積書や請負代金内訳書に明示すること等により、適正な請負代金による請負契約を締結するものとする。
○ また、下請契約に係る代金の支払いについては、建設業法(第24 条の3、第24 条の5)等に基づき、速やかに支払いを行うとともに、支払手段については、「下請代金の支払手段について」(平成28 年12 月14 日20161207 中第1号・公取企第140 号)を踏まえ、できる限り現金払いによるものとし、手形等による支払いを行う場合は、割引料等について下請の負担とすることのないようにする。
○ なお、建設業における週休2日の確保等に当たっては、日給制の技能労働者等の処遇水準の確保に十分留意する。
○ 個人として建設工事を請け負う、いわゆる一人親方についても、上記の取組と同様に、長時間労働の是正や週休2日の確保等を図る。
(5)適正な工期設定等に向けた発注者支援の活用
○ 特に公共発注者において、技術者の不足等の理由により、適正な工期設定等の発注関係事務を自ら適切に行うことが困難な場合には、工事の特性等を踏まえ、発注者支援を適切に行うことのできる外部機関(コンストラクション・マネジメントなどの建設コンサルタント業務を行う企業等)の支援を活用するなどにより、適正な工期設定等を行うことができる体制を整えることが望ましい。
○ なお、外部支援を活用する場合においても、本来発注者が実施すべき判断や事業全体のマネジメントについては、適切に実施するものとする。