1.職業紹介事業とは
職業紹介とは、職業安定法において求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。」と定義されています。
求人とは、報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めることをいいます。
求職とは、報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることをいいます。
雇用関係とは、報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係をいいます。
あっせんとは、求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすることをいいます。
職業紹介を事業として行うこととは、一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思を持って行えば事業性ありと判断されます。職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可、または届出が必要になります。
職業紹介事業の種類には、2種類があります。
(1)有料職業紹介事業
有料職業紹介事業とは、職業紹介に関し手数料又は報酬を受けて行う職業紹介事業をいいます。有料職業紹介事業は、求職者に紹介してはならないものとされている職業以外の職業について、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
(2)無料職業紹介事業
無料職業紹介事業とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介事業をいいます。無料職業紹介事業は、
① 一般の方が行う場合には法第33条の規定により厚生労働大臣の許可を受けて
② 学校教育法第1条の規定による学校、専修学校等の施設の長が行う場合には法第33条の2の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより
③ 商工会議所等特別の法律により設立された法人であって厚生労働省令で定めるものが行う場合には法第33条の3の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより
④ 地方公共団体が行う場合には法第33条の4の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより
無料職業紹介事業を行うことができます。
2.適用除外業務
次の業務では、職業紹介事業を行うことができません。
(1)港湾運送業務
(2)建設業務
(3)その他職業紹介事業においてその職業のあっせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業
3.許可基準
有料職業紹介事業の許可を受けるためには、次の基準を満たす必要があります。
(1)申請者が、当該事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
①資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が500万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。
②事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。
(2)個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること
業務の過程で得た求職者等の個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていることが必要です
①個人情報管理体制に関する判断
②個人情報管理の措置に関する判断
(3)申請者が、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること
①代表者及び役員(法人の場合に限る。)に関する要件
②職業紹介責任者に関する要件
③事業所に関する要件
④適正な事業運営に関する要件
4.許可申請の手続き
有料職業紹介事業を行おうとする場合には、次に掲げる書類を申請者の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して厚生労働大臣に提出しなければなりません。
この場合、許可申請書には、手数料として
5万円+1万8千円×(職業紹介事業を行う事業所の数-1)
分の収入印紙及び登録免許税〔9万円〕の納付に係る領収証書を添付する必要があります。なお、収入印紙が消印された後は手数料は返還されません。
(1)申請書類
イ.有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号)3部(正本1部、写し2部)
ロ.有料職業紹介事業計画書(様式第2号)3部(正本1部、写し2部)
ハ.届出制手数料届出書(様式第3号)3部(正本1部、写し2部)
※ ハについては、上限制手数料による場合には提出は不要です。
(2)添付書類2部(正本1部、写し1部)
① 法人に関する書類
・定款又は寄附行為
・法人の登記事項証明書
② 代表者、役員、職業紹介責任者に関する書類
・住民票の写し
・履歴書
・代表者役員の法定代理人の住民票の写し及び履歴書(代表者役員が未成年者で職業紹介事業に関し営業の許可を受けていない場合。なお、営業の許可を受けている場合は、その法定代理人の許可を受けたことを証する書面(未成年者に係る登記事項証明書)。)
③ 資産及び資金に関する書類
・最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書
・預貯金の残高証明書等所有している資産の額を証明する書類(貸借対照表から計算される基準資産が納税証明書及び納税申告書により証明される場合は、残高証明書等は不要)
・所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明書(貸借対照表から計算される事業資金が納税証明書及び納税申告書により証明される場合は、残高証明書等は不要)
・最近の事業年度における納税申告書の写し(法人にあっては法人税の納税申告書別表1及び4、個人にあっては所得税の納税申告書第一表)
・最近の事業年度における法人税又は所得税の納税証明書((その2)による所得金額に関するもの)
・最近の事業年度における株主資本等変動計算書
④ 個人情報の適正管理に関する書類
・個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程
⑤ 業務の運営に関する書類
・業務の運営に関する規程
⑥ 事業所施設に関する書類
・建物の登記事項証明書(申請者の所有に係る場合)
・建物の賃貸借又は使用貸借契約書(他人の所有に係る場合)
⑦ 手数料に関する書類
・手数料表(届出制手数料の届出をする場合)
5.許可の有効期間
(1)有料職業紹介事業
新規許可の場合は3 年、許可の有効期間の更新の場合は5 年です。
(2)無料職業紹介事業
新規許可の場合及び許可の有効期間の更新の場合ともに5 年です。