専門技術者とは土木一式工事又は建築一式工事を施工する場合において、一式工事の内容となる許可を持っていない専門工事を自ら施工する場合や、専門工事に附帯する許可を持っていない附帯工事を自ら施工する場合に現場に配置しなければならない技術者です。専門技術者は該当工事について主任技術者となることができる要件を満たす必要があります。専門技術者を配置しなければならない具体的なケースは以下になります。
1.一式工事の内容となる専門工事を自ら施工する場合
建設工事は2つの一式工事(土木一式工事、建築一式工事)と27の専門工事(大工工事、左官工事、とび・土工工事など)の2つの別れ、500万円以上の建設工事を請け負うには対応する建設業許可が必要になります。土木一式、建築一式工事を持っていれば全ての工事が受注できるわけではありません。しかし、一式工事に含まれる専門工事であれば、専門工事についての主任技術者の資格を持っている者を現場に配置すれば、該当する専門工事の許可を受けていなくてもその専門工事を自ら施工することが出来ます。
一式工事を受注したものは以下のいずれかの方法により専門工事を施工することになります。
① 一式工事および施行に必要な専門工事の建設業許可を取得する。
② 一式工事の主任技術者が、専門工事の主任技術者の要件を満たす場合、その者が専門工事の専門技術者を兼ねる。
③ 一式工事の主任技術者とは別の専門工事の主任技術者の要件を満たす者を現場に配置する。
④ その専門工事について許可を受けている専門工事業者に下請負させる。
のいずれかを選択しなければなりません。
2.附帯工事を自ら施工する場合
500万円以上の建設工事は許可を受けていない業種に係る建設工事は請負うことができませんが、本体工事に附帯する工事については、発注者の利便性の観点から許可を受けている本体工事と併せて許可を受けていない附帯工事についても請負うことができます。附帯工事とは以下により判断し、全く関連のない2つ以上の工事は附帯工事には該当しません。
・一連の工事又は一体の工事として施工する他の工事
・本体工事を施工した結果、発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事
附帯工事に該当する場合は、専門工事の建設業許可がなくても自ら施工することが可能です。ただし、その場合は該当附帯工事に関する専門技術者を置かなければなりません。専門技術者を配置できない場合や自ら施工しない場合は、附帯工事の建設業許可を受けた建設業者に下請に出す必要があります。
なお、注意点として一式工事は、総合的な企画、指導、調整の下に建設工事を完成させる総合的な工事であり、建築一式工事や土木一式工事は他の専門業種に係る工事の附帯工事とはなりません。500万円未満の附帯工事には原則として専門技術者は不要で自社施工が可能ですが、建設業法以外の法令で施工できる者が制限されている工事もあります。電気工事や消防設備工事は、電気工事士や消防設備士の資格者でなければ行ってはなりません。さらに、電気工事を施工できる業者は電気工事業の登録を行っている業者だけです