建設業許可の専任技術者となりうる技術者として、一般建設業では10年以上の実務経験を要する者(第7条第2号ロ)であれば要件を満たします。しかし、電気工事に関しては、この要件は該当しません。これは建設業法ではなく、電気工事士法により無資格者は電気工事を施工することができないとされてるためです。
1.電気工事業の実務経験
電気工事を施工する場合、軽微な工事または、自家用電気工作物・一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるも以外の工事を施工するには、第一種電気工事士または第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければなりません。
電気工事士法
第三条 第一種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。
2 第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事してはならない。
電気工事士法施行令(軽微な工事)
第一条 電気工事士法 (以下「法」という。)第二条第三項 ただし書の政令で定める軽微な工事は、次のとおりとする。
一 電圧六百ボルト以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧六百ボルト以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事
二 電圧六百ボルト以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧六百ボルト以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事
三 電圧六百ボルト以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事
四 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が三十六ボルト以下のものに限る。)の二次側の配線工事
五 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事
六 地中電線用の暗渠又は管を設置し、又は変更する工事
電気工事法施行規則(軽微な作業)
第二条 法第三条第一項 の自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 次に掲げる作業以外の作業
イ 電線相互を接続する作業(電気さくの電線を接続するものを除く。)
ロ がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。ハ、ニ及びチにおいて同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業
ハ 電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業
ニ 電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業
ホ 配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)
ヘ 電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
ト 金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業
チ 電線、電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業
リ 金属製の電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業
ヌ 配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業
ル 接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力五百キロワット未満の需要設備において設置される電気機器であつて電圧六百ボルト以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く。以下この条において同じ。)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
ヲ 電圧六百ボルトを超えて使用する電気機器(電気さく用電源装置を除く。)に電線を接続する作業
二 第一種電気工事士が従事する前号イからヲまでに掲げる作業を補助する作業
2 法第三条第二項の一般用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものは、次のとおりとする。
一 次に掲げる作業以外の作業
イ 前項第一号イからヌまで及びヲに掲げる作業
ロ 接地線を一般用電気工作物(電圧六百ボルト以下で使用する電気機器を除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
二 電気工事士が従事する前号イ及びロに掲げる作業を補助する作業
したがって、電気工事業に関しては第一種電気工事士または第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ実務経験と認められません。専任技術者に第二種電気工事士を予定している場合、3年間の実務経験が必要ですが、その実務経験期間については上記の趣旨により免状取得後の期間でないと認めてもらえません。
2.電気工事業登録
電気工事業を営もうとする方は、都道府県知事の登録を受けなければなりません。建設業許可の電気工事業を取得している場合は、通常の電気工事業登録ではなく、電気工事業のみなし登録という手続きが必要になります。
通常の登録電気工事業者は5 年ごとに更新の手続きをする必要がありますが、電気工事業のみなし登録の場合、更新の手続きは必要ありません。また、登録手数料の22,000円も不要です。
録電気工事業者が、建設業法に基づく建設業の許可を受けたときは、みなし登録電気工事業者となりますので、登録証の返納と併せて、みなし登録の手続きが必要です。なお、登録電気工事業の廃止届けは不要です。
(1)電気工事業のみなし登録に必要な書類
・電気工事業開始届出書(様式18)
・主任電気工事士の誓約書(様式31)
・主任電気工事士の雇用証明書(様式32)
(役員以外が主任電気工事士)
・登記簿謄本
(役員が主任電気工事士の場合必要)
・備付器具明細書(様式33)
・営業所位置図(様式34)
・主任電気工事士の電気工事士免状の写し
・実務経験証明書(様式例2)
(主任電気工事士に選任される方が第二種電気工事士であるときに必要)
(2)みなし登録事項の変更の届出
みなし登録電気工事業者は、次に掲げる事項に変更があったときは、遅滞なくその旨を届け出してください。
変更になった事項 | 添付する書類 |
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届出者の氏名又は名称 | 開始届出受理通知書及び法人の場合は登記簿謄本 |
届出者の住所 | 開始届出受理通知書 |
法人代表者 | 登記簿謄本及び誓約書(様式30) |
建設業法許可の年月日及び許可番号 | |
営業所の名称 | |
営業所の所在地 | 営業所位置図(様式34) |
営業所の新設 | 営業所位置図(様式34) 主任電気工事士の設置に関する書類 |
営業所の業務に係る電気工事の種類 | 開始届出受理通知書、備付器具明細書(様式33)、及び一般用電気工作物に係る電気工事を追加する営業所にあっては、主任電気工事士の設置に関する書類 |
主任電気工事士 | 主任電気工事士の設置に関する書類 |
主任電気工事士の免状の種類等主任電気工事士の免状の種類等 | 免状の写し |