国土交通省においては、トラック運送事業における運送の対価としての「運賃」及び運送以外の役務等の対価としての「料金」を適正に収受できる環境を整備するため、標準貨物自動車運送約款の改正が行われました。
1.「運賃」と「料金」の区別を明確化。
運送の対価である「運賃」と、運送以外の役務を「料金」として区別します。
(1)運賃とは
貨物の場所の移動に対する対価のこと。運送の対価のみを指し積込み、取卸し等は含みません。ただし、貨物運送事業者が備え付けている積付用品(シート、ロープ等)による積付け作業は運賃に含まれます。
(2)料金とは
①運送以外の役務に対する対価のこと。
積込料又は取卸料:発地又は着地において、荷主の依頼に基づき、運送事業者が行う車両への貨物の積込み又は車両からの取卸しに対する対価です。ただし、運賃に該当する積付け作業を除きます。
待機時間料:発地又は着地に到着後、荷主の責任で運送事業者が待機した時間に対する対価(荷主が貨物の積込み、取卸し又は附帯業務を行う場合に待機した時間も含まれます。)
附帯業務料:荷主の依頼に基づき、運送事業者が行う品代金の取り立て、荷掛金の立替え、貨物の荷造り、仕分、保管、検収及び検品、横持ち及び縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業(倉庫等において袋や箱を一定の方法で規則正しく積み上げたり、積み上げられた荷をくずしたりする作業)その他運送事業に附帯して一定の時間、技能、機器等を要する業務に対する対価です。
②深夜・早朝配送等の特別な費用が発生する輸送により増加する費用を賄うため収受するものも含まれます。
2.標準貨物自動車運送約款の運賃及び料金に関する規定が改正されます。
(1)荷送人が運送依頼をする際の運送状等の記載事項に、 「待機時間料」、 「積込料」、 「取卸料」等の料金の具体例を規定されます。
(2)荷待ちに対する対価を「待機時間料」とし、 発地又は着地における荷主の依頼に基づく積込み又は取卸しに対する対価を「積込料」及び「取卸料」とそれぞれ規定されます。
(3)附帯業務の内容に「横持ち」、「縦持ち」、「棚入れ」、「ラベル貼り」及び「はい作業」 が追加されます。
(4)「待機時間料」、 「積込料」、 「取卸料」が具体的に規定されたため、従来の「車両留置料」は削除されました。
3.運送約款とは
多数の取引相手に対し、迅速・安定的な取引を行うために、予め定型化した運送契約を定めたもののことであり、貨物の「引受け」、「運賃及び料金」、「責任」などを規定するものです。
運送事業者は「運送約款」を独自に定めた場合は、国土交通大臣の認可を受けなければならず、標準貨物運送約款を適用する場合には認可を受ける必要はありません。
4.改正に伴いトラック事業者に行っていただくこと
平成29年11月4日以降、新標準約款を使用して待機時間料、積込料及び取卸料を収受するためには、①運賃及び料金の変更届出、②新標準約款を営業所に掲示が必要です。
ただし、旧標準約款を引き続き使用する場合・新たに独自に定めた約款を使用する場合は、その約款を使用することについて認可申請が必要です。その認可された約款を営業所に掲示する必要があります。