1.整備管理者とは
一定台数以上のバス、大型トラック又は事業用自動車を使用する自動車の使用者は、その使用の本拠ごとに、一定の要件を備える「整備管理者」を選任して必要な権限を付与し、自動車の点検・整備及び自動車車庫の管理に関する事項を処理させなければなりません。
自動車の整備不良による事故を防止するために整備管理者制度が定められており、車両が規定台数に達した事業者は車輌の維持管理を行う専門の技術者、つまり整備管理者を事業所内に選任し、適切な車輌管理を行っていかなくてはなりません。整備管理者制度は道路運送車両法に規定されています。
2.整備管理者の選任が必要な自動車使用者
以下の要件に当てはまる場合は、整備管理者の選任が必要になります。
事業の種類 | 自動車の種類 | 選任が必要となる台数(使用の本拠ごと) |
---|---|---|
事業用 (貨物軽自動車運送事業用自動車を除く。) |
バス(乗車定員11 人以上の自動車) | 1台以上 |
トラック、タクシー(乗車定員10 人以下の自動車) | 5台以上 | |
自家用 | バス(乗車定員11 人以上の自動車) | 乗車定員30人以上の自動車の場合は1台以上 |
乗車定員11人以上29人以下の自動車の場合は2台以上 | ||
大型トラック等(車両総重量8トン以上) | 5台以上 | |
レンタカー | バス(乗車定員11 人以上の自動車) | 1台以上 |
大型トラック等(車両総重量8トン以上) | 5台以上 | |
その他の自動車 | 10台以上 | |
貨物軽自動車運送事業用自動車 | ○軽自動車又は小型二輪自動車 | 10台以上 |
※事業用(緑ナンバー)だけでなく、自家用(白ナンバー)のバス・トラックでも整備管理者の専任が必要になる場合があります。飲食店・旅館等の送迎用バスを保有する事業者も対象になりますので注意が必要です。
3.整備管理者の資格要件
整備管理者として選任するためには、次のいずれかの資格要件を満たすことが必要です。
(1)整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検若しくは整備又は整備の管理に関する2年以上の実務経験を有し、かつ、地方運輸局長が行う研修を修了した者であること
(2)一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること
注1:資格要件(1)の実務経験等の解釈
(1)「整備の管理を行おうとする自動車と同種類の自動車」とは、
① 二輪自動車以外
② 二輪自動車
の2種類です。
(2)「点検又は整備に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
① 整備工場、特定給油所等における整備要員として点検・整備業務を行った経験(工員として実際に手を下して作業を行った経験の他に技術上の指導監督的な業務の経験を含む。)
② 自動車運送事業者の整備実施担当者として点検・整備業務を行った経験
(3)「整備の管理に関する実務経験」とは、以下のものをいいます。
① 整備管理者の経験
② 整備管理者の補助者(代務者)として車両管理業務を行った経験
③ 整備責任者として車両管理業務を行った経験
注2:資格要件(1)の地方運輸局長の行う研修を修了した者とは
「地方運輸局長の行う研修を修了した者」とは、運輸支局毎に実施している「整備管理者選任前研修」を受講・修了した方をいいます。なお、資格要件(2)の自動車整備士技能検定の合格者は、選任前研修の修了の必要はありません。
4.選任届出
整備管理者の選任届出は、管轄の運輸支局へ届出書及び添付書面の提出が必要です。
(1)整備管理者選任届出書
(2)資格要件のいずれかに該当することを証する書面
①自動車整備士の場合
・自動車整備士技能検定合格証書等(写)
②実務経験の場合
・実務経験証明書
・選任前研修修了証明書(写)