1.運行管理者とは
運行管理者とは、運行の安全を確保するために、事業用自動車の運転者の乗務割の作成、休憩・睡眠施設の保守管理、運転者の指導監督、点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示等、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行う者です。
運送事業者(貨物軽自動車運送を除く)は、一定の数以上の事業用自動車を有している営業所ごとに、一定の人数以上の運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者として選任されるためには、自動車運送事業の種別に応じた種類の運行管理者資格者証(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、旅客、貨物)を取得する必要があります。
2.運行管理者になるには
運行管理者資格者証を取得するためには、以下の2つの方法があります。
(1)運行管理者試験に合格する。
(2)事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務について一定の実務の経験その他の要件を備える。
3.運行管理者試験の概要
(1)受験資格
試験日の前日において、自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く。)の用に供する事業用自動車又は特定第二種貨物利用運送事業者の事業用自動車(緑色のナンバーの車)の運行の管理に関し、1年以上の実務の経験を有する者。
国土交通大臣が認定する講習実施機関において、平成7年4月1日以降に実施した「基礎講習」を修了された者。
(2)試験の種類
①貨物
次に掲げる法令等(法令に基づく命令等を含む。)について筆記で行います。
・貨物自動車運送事業法関係
・道路運送車両法関係
・道路交通法関係
・労働基準法関係
・その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
②旅客
次に掲げる法令等(法令に基づく命令等を含む。)について筆記で行います。
・道路運送法関係
・道路運送車両法関係
・道路交通法関係
・労働基準法関係
・その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
(3)合格基準(貨物・旅客同一)
次の①及び②の得点が必要です。
①原則として、総得点が満点の60%(30問中18問)以上であること。
②次表の(ア)~(エ)の出題分野ごとに正解が1問以上であり、(オ)については正解が2問以上であること。
(ア)貨物自動車は貨物自動車運送事業法
旅客自動車は道路運送法
(イ)道路運送車両法
(ウ)道路交通法
(エ)労働基準法
(オ)その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
(4)試験日程
毎年2回、3月第1日曜日、8月第4日曜日に行われます。
4.運行管理者実務経験その他の要件
取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
基礎講習を初めにに受講し、年1回一般講習を受講するため最短で5年かかります。
5.運行管理者の選任数
事業用自動車の数(被けん引車を除く)によって必要人数が決まる。
30両未満:1人
30両以上60両未満:2人
60両以上90両未満:3人
以下、必要選任者数=1+配置車両数(被けん引車を除く。)÷30(ただし、小数点以下は切り捨てる)
※運行車とは、特別積合せ貨物運送の運行系統に配置する車両のこと。
平成25年5月1日以降 5両未満でも運行管理者1人を選任する必要があります。
但し、専ら霊きゅう自動車または一般廃棄物の収集のために使用される自動車を管理する営業所、離島に存する営業所については、保有車両数が5両未満である場合、引き続き、運行管理者を選任する義務はありません。
6.運行管理者の業務
運行管理者は、事業用自動車の運行の安全を確保するため以下の業務を行わなければなりません。
・乗務の指示
・過労運転の防止
・過積載の防止
・貨物の積載方法
・点呼
・乗務等の記録
・運行記録計による記録
・事故の記録
・運行指示書による指示など
7.運行管理者の選任届
運行管理者を新しく選任したとき、営業所を新設し運行管理者を選任したとき及び運行管理者を増員した場合、または運行管理者を解任したときは、速やかに当該事業所、営業所等を管轄する運輸支局長にその旨の届出なければなりません。
運行管理者の選任届出の際は、新たに選任した者の運行管理者資格者証の写しを添付します。
8.運行管理者の講習受講義務
自動車運送事業者は、選任する運行管理者について、運行管理者講習を2年に1回受講させなければいけません。