自動車運転代行業とは、飲酒などの理由で自動車の運転ができなくなった者の代わりに運転して、自動車を目的地(主に依頼者の自宅)に送る役務を提供する事業です。自動車運転代行業を営もうとする場合には、主たる営業所を管轄する公安委員会の認定を受けなければなりません。また、認定後も、認定を受けた事項に変更があったときは、政令で定める事項を記載した届出書を提出しなければなりません。
認定申請は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署に必要書類を提出して行います。
申請を受理した警察署では、書類が整っていること及び欠格要件に該当していないことについて審査等を行います。
1.欠格事項
次のいずれかに該当する人は、自動車運転代行業を営むことはできません。
(1)法律行為能力が制限されている者として、成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
(2)禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
(3)次の違反者
・ 本法の規定
・ 道路運送車両法の規定(自家用自動車の有償運送禁止の規定等)
・ 道路交通法を読替えて適用する自動車の使用者の義務等の規定等
により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
(4)最近2年間に、本法の規定に基づく営業停止命令、営業廃止命令に違反する行為をした者
(5)集団的に、または常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
(6)営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
(7)損害賠償措置が国土交通省令で定める基準に適合しないと認められる者
(8)安全運転管理者等を選任しない者
(9)法人でその役員のうちに、上記1から5までに該当する者がある者
2.申請書類
○認定申請書
申請書への記載内容は、次のとおりです。
・申請者の氏名又は名称及び住所(法人の場合は、代表者の氏名)
・主たる営業所、その他の営業所の名称及び所在地
・安全運転管理者の氏名、住所(営業所ごとに使用する随伴用自動車の台数が10台以上の時は副安全運転管理者の氏名も記載する)
・損害賠償措置を講じる措置
・随伴用自動車の自動車登録番号
・認定を受けようとするものが法人の場合、役員の住所及び氏名
○ 添付書類
【個人事業者】
(1)戸籍謄本または抄本(外国人の場合は住民票の写し)(市町村役場)
(2)認定を受けようとする者を成年被後見人または被保佐人とする記録がない旨の登記事項証明書(法務局)
(3)国土交通省令で定める基準を満たす損害賠償措置の書類
保険証券の写し及び保険約款の写し等保険契約の内容が判るもの(共済組合、保険会社等)
(4)国家公安委員会規則で定めるもの(安全運転管理者等選任の書類)
①住民票の写し
②自動車運転の管理に関する経歴を記載した書面または公安委員会の資格認定書(警察署交通課)
(5)申請者が、婚姻等により成年に達した者とみなされた者以外の未成年者の場合は、上記1から4の書類の他に次の書類が必要となります。
①民法第6条第1項の規定により営業を許可された未成年者の場合
未成年者登記簿の謄本
②相続人である未成年者の場合
ア 運転代行業者の相続人であることを法定代理人が誓約する書面
イ 被相続人の戸籍謄本(市町村役場)
ウ 法定代理人に関する上記(1),(2)の書類
【法人事業者】
(1)法人の登記簿謄本
(2)定款またはこれに代わる書類
(3)役員の住所及び氏名を記載した名簿
(4)役員の戸籍謄本または抄本(外国人の場合は住民票の写し)
(5)役員についてこれを成年被後見人または被保佐人とする記録がない旨の登記事項証明書
(6)国土交通省令で定める基準を満たす損害賠償措置の書類
保険証券の写し及び保険約款の写し等保険契約の内容が判るもの
(7)国家公安委員会規則で定めるもの(安全運転管理者等選任の書類)
①住民票の写し
②自動車運転の管理に関する経歴を記載した書面または公安委員会の資格認定書
3.手数料
13,000円
自動車運転代行業関係手数料納付書に茨城県収入証紙を貼付して納付する
4.自動車運転代行業の安全管理者等
安全運転管理者等の選任基準
(1)安全運転管理者
自動車運転代行業者は、その自動車運転代行の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならない。
(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)
(2)副安全運転管理者
安全運転管理者の業務を補助させるため、その運転代行業の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、副安全運転管理者を選任しなければならない。
(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)
5.安全運転管理者の要件
(1)安全運転管理者
①20歳(副安全運転管理者が置かれることとなる場合にあっては30歳)以上の者であること。
②自動車の運転の管理に関し2年(公安委員会が行う教習を終了した者にあっては、1年)以上の実務経験を有する者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
③道路交通法第74条の3(運転代行業法19条の読替え規定を含む)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
④過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
・ひき逃げ
・酒酔い運転、酒気帯び運転、飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、依頼又は要求して同乗する行為、麻薬等運転、無免許運転
・【酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、麻薬等運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反】の下命・容認違反
・自動車使用制限命令違反
(2)副安全運転管理者
①20歳以上の者
②自動車の運転の管理に関し1年以上の実務経験を有する者、自動車の運転の経験の期間が3年以上の者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
③道路交通法第74条の3(運転代行業法第19条の読替え規定を含む。)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
④過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
・ひき逃げ
・酒酔い運転、酒気帯び運転、飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、依頼又は要求して同乗する行為、麻薬等運転、無免許運転
・【酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転 麻薬等運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反】の下命・容認違反
・自動車使用制限命令違反
6.安全運転管理者の業務
(1)自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに道路交通法及び運転代行業法並びにこれらに基づく命令の規定並びにこれらの規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。
(2)道路交通法第22条の2第1項に規定する最高速度違反行為、法第58条の3第1項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第66条の2第1項に規定する過労運転及び運転代行業法第19条第1項の規定により読替えて適用される道路交通法第75条第1項第7号に規定する駐停車違反行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。
(3)運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。
(4)異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。
(5)運転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第47条の2第2項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び飲酒、過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
(6)運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
(7)運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。(交通安全教育を行うことを除く。)
7.随伴用自動車の表示
認定を受けた自動車運転代行業者は、随伴用自動車(代行業者の車)の両側面に随伴用自動車である旨の表示をしなければなりません。(表示する各文字の大きさは、原則同じ大きさで、縦横5センチメートル以上となります。)
表示の内容の一例
茨城県公安委員会認定第○○○号×××代行代行随伴自動車
8.代行運転自動車の表示
運転代行中の代行運転自動車(お客さんの車)には代行運転自動車標識を車の前後の見やすい位置に表示することが定められています。
標識は、緑色の楕円の中に、ハンドルを持った運転者を図案化した黄色のマークと黒字で代行の文字が入ります。
9.同乗禁止
随伴用自動車(代行業者の車)にお客さんは乗ることはできません。(白タク類似行為となります。)
飲食店から駐車場までのわずかな距離でも同じ行為となります。
10.代行運転者の二種免許義務づけ
平成16年6月1日から代行運転普通自動車(お客さんの車)の運転をする者に普通第二種免許が義務づけられました。
11.お客さんへの説明義務
自動車運転代行業者は運転代行を始める前に、お客さんに対し、代行運転役務提供の条件を説明する義務があります。
説明する内容は業者名、運転手の氏名、料金に関すること、運転代行業約款の概要、白タク類似行為に関すること等があります。