収集運搬

公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが行う講習

産業廃棄物処理業の許可申請は当該申請が「産業廃棄物の処理(収集運搬又は処分)を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。」の要件を満たす必要があります。この要件を満たすためには、申請者(法人の場合には取締役以上の役員 )又は政令で定める使用人が、 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興 センターの講習会を受講し、修了証を受けていること。許可申請の時点で当該修了証が有効期間内のものであることが必要となります。

講習会の種類

収集運搬業の場合

申請内容

講習内容

産業廃棄物収集運搬業許可申請 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可申請
新規 更新 変更 新規 更新 変更
産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)の収集・運搬
課程
5年 5年 5年
特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会(新規)の収
集・運搬課程
5年 5年 5年 5年 5年 5年
産業廃棄物又は特別管理産業廃棄
物処理業の許可申請に関する講習会(更新)の収集・運搬課程

注1

2年

2年

注2

注1

2年

2年

注2

 

注1 他の自治体で許可を受けて おり、同じ区分の新規許可申請をする場合 、又は個人で許可を有していたものが法人成りに伴い新規申請する場合、法人で許可を有していた者で、その取締役等が個人成りに伴い新規申請する場合 には、更新の修了証の写し (有効期間は2年です。5年に延長されるわけではありません) と当該他の自治体の同じ区分の許可証の写しの添付をもって新規の収集・運搬課程の修了証に代えられます 。

注2 直近の許可申請 (新規・更新 のときに有効期間内であったものも可とします 。

産業廃棄物処理業の許可申請は当該申請が「申請者が欠格要件に該当していないこと。」の要件を満たす必要があります。

欠格要件に該当しないこと

欠格要件とは、申請者の一般的適性について、法に従った適性な業を遂行することが期待できない者を類型化して排除することを趣旨としています。
申請者が欠格要件に該当した場合、許可申請は不許可処分となります。また、既に許可がある産業廃棄物処理業者が欠格要件に該当した場合、当該許可は取消処分となります。
申請者が法人の場合には、当該法人とその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められるものを含む。)又は政令で定める使用人等が、個人経営の場合は、個人事業主又は政令で定める等が対象となります。

例えば、法人の発行済株式例えば、法人の発行済株式総数総数の100分の5以上の株式を有する株主は、取締役等と同等以上の支配力を有する蓋然性が高いと考えられます。

 

欠格要件の内容については以下のとおりです。

ア 成年被後見人若しくは被保佐人、又は破産者で復権を得ない者
イ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
ウ 廃棄物処理法、その他環境保全法令に違反し、又は刑法(傷害・現場助勢・暴行・凶器準備集合及び結集・脅迫・背任)、暴力行為等処罰ニ関するスル法律の罪を犯し、罰金刑に処せられその執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
エ 廃棄物処理法の所定の規定(重大な廃棄物処理法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、不正又は不誠実な行為をするおそれがある等)又は浄化槽法の所定の規定により許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
オ 廃棄物処理法又は浄化槽法の許可の取消しの処分に係る聴聞の通知があった日から、その処分を決定するまでの間に事業の全部廃止の届出書を提出し、当該届出の日から5年を経過しない者
カ 廃棄物処理業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認められる相当の理由がある者
キ 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
ク 暴力団員がその事業活動を支配する者

執行を受けることができなくなった日から5年を経過しない者とは
・ 刑の時効によりその執行の免除を受け、又は恩赦によりその執行の免除を受けてから5年を経過しない者
・ 執行猶予の言渡しを受けた者はイに該当する
・ 執行猶予を取り消されることなく猶予の期間を経過した時はイには該当しないが、不正又は不誠実な行為をするおそれがあるということでカに該当する可能性がある

その他環境保全法令とは
・ 浄化槽法、大気汚染防止法、騒音規制法、水質汚濁防止法、悪臭防止法、振動規制法
・ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
・ 特定有害廃棄物の輸出入等の規制に関する法律
・ ダイオキシン類対策特別措置法
・ PCB廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法

廃棄物処理業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認められる相当の理由がある者の例は以下のような場合
・ 生活環境の保全を目的とする法令又はこれらの法令に基づく処分に係る違反を繰り返しており、行政庁の指導等が累積している者
・ 産業廃棄物処理業務に関連し、他法令に違反し、繰り返し罰金以下の刑に処せられた者
・ 自己、自社若しくは第三者への不正の利益を図る目的、又は第三者に損害を加える目的をもって、暴力団員を利用している者
・暴力団員に対し て、自発的に資金等を供給し、又は便宜を供与するなど間接的あるい は積極的に暴力団の維持運営に関与している者

産業廃棄物処理業の許可申請は当該申請が
(1)許可の基準(①事業の用に供する施設の基準、②申請者の能力に係る基準)に適合していること。
(2)申請者が欠格要件に該当していないこと。
2つの要件を満たした場合に許可となります。

許可の基準

許可基準には①事業の用に供する施設の基準と、②申請者の能力に係る基準があります。

①事業の用に供する施設

<収集運搬業の場合>

産業 廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車両 、運搬船、運 搬容器その他の運搬施設を有すること。

○ 運搬車両、運搬船及び 運搬容器 等 に係るもの
・ 飛散・流出・悪臭・騒音・振動等の生活環境上の支障が生じるおそれのないこと
・ 取り扱う産業廃棄物の種類に応じた運搬施設であること
・ 泥状・液状であり、流出のおそれのある廃棄物(汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ等)については、流出防止に適した施設(運搬車両(清掃車、荷台にパッキンの付いた水密仕様のダンプ車等)や容器(蓋付きのドラム缶等))を有していること。
・ 悪臭 のおそれのある廃棄物(汚泥、動植物性残さ、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体等)については、悪臭防止に適した施設(運搬車両(清掃車、荷台にパッキンの付いた水密仕様のダンプ車等)や容器(蓋付きのドラム缶等))を有していること。
・ 特別管理産業廃棄物である廃油、廃酸、廃アルカリについては、その性状に応じ、運搬容器に腐食防止のための措置が講じられていること。
・ 感染性産業廃棄物を運搬する場合には、保冷車その他の運搬施設を有すること。
・ 石綿含有産業廃棄物や廃石綿等の収集運搬について は、他の物と混合するおそれのないように区分すること。また、それらを破砕するおそれのある車両(塵芥車等)を用いないこと
・ 水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等 の収集運搬については、他の物と混合するおそれのないように区分すること。また、それらを破損 するおそれのある車両(塵芥車等)を用いない外、 破損のおそれのある物(蛍光ランプ等)を運搬する際には、緩衝材等を用いて破損防止の措置をとること。なお 水銀は揮発性があるため、高温の環境を避け、大気に流出しないよう配慮すること
・ 自動車検査証の備考欄に「積載 物は、土砂等以外のものに限る。」と記載されたダンプ車については、鉱さい及びがれき類の運搬を行わないこと。また、汚泥、ガラスくず・コンクリートくず 及び 陶磁器くず については、過積載となるものの運搬を行わないこと。
・ 運搬容器の使用や運搬車両の荷台に シート掛け をする 等により、産業廃棄物の飛散防止のために必要な措置が講じられていること。
・ 運搬車両又は運搬船は、申請者が所有権又は継続的な使用権限を有することが 自動車検査証・船舶国籍証書及び船舶検査証明書の写し、賃貸借又は使用貸借契約書等により確認できること。
・ 運搬車両又は運搬船は、 自動車検査証・船舶国籍証書及び船舶検査証明書の写し等により、適切な検査を受けていることが確認できること。
・ 不正に改造された運搬車両又は運搬船でないこと。
・ 他の処理業者が使用する運搬車両又は運搬船でないこと。
・ 廃PCB、PCB汚染物、PCB処理物については、応急措置設備等及び連絡設備等が備え付けられた運搬施設を有すること。

○ 事務所、事業場及び 駐車場 等 に係るもの
・ 場内が清潔に保たれ、廃棄物等が散乱又は野積みされていないこと
・ 駐車場については、運搬車両、運搬容器等を駐車、保管するのに十分な敷地があること
・ また、 申請者が所有権又は継続的な使用権限を有することを 不動産登記事項証明書、賃貸借又は使用貸借契約書等により確認できること

②申請者の能力に係る基準

イ知識及び技能に係る基準
・ 産業廃棄物の処理(収集運搬又は処分)を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
・ 申請者(法人の場合には取締役以上の役員)又は政令で定める使用人が、次の区分により公財日本産業廃棄物処理振興センターの講習会を受講し、修了証を受けていること。許可申請の時点で当該修了証が有効期間内のものであること。
・ PCB廃棄物の収集運搬を業として行う場合には、その業務に直接従事する者が①廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の性状に関し特に注意すべき事項、②廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の性状に応じた取扱い、③事故時における生活環境の保全上の支障を防止するために講ずる応急の措置、緊急時における連絡の方法、について十分な知識及び技能を有すること。
・ 感染性産業廃棄物及び廃石綿等以外の特別管理産業廃棄物の処分を行う場合には、当該特別管理産業廃棄物の処分に当たり必要な性状の分析を行う者が、十分な知識及び技能を有すること。

ロ経理的基礎に係る基準
○産業廃棄物の処理(収集運搬又は処分)を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。

<法人の場合>
・ 事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達を記載した書類、貸借対照表、損益計算書株主資本等変動計算書及び個別注記表並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類等により審査を行います。
・ 直前の決算期で債務超過となっている場合や納税に未納額がある場合等は、経理的基礎の審査のため別途書類が必要になる場合があります。

<個人の場合>
・ 事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達を記載した書類、資産に関する調書並びに所得税の納付すべき額及び納付済額を証する書類等により審査を行います。
・ 資産に関する調書において負債の額が資産の額を上回る場合や納税に未納額がある場合等は、経理的基礎の審査のため別途書類が必要になる場合があります。

産業廃棄物処理業とは

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称:廃棄物処理法,廃掃法)」では、生活や事業を営む上で発生した不要物(ごみ)を正しく処理をすることが義務づけられています。産業廃棄物は、当該産業廃棄物を排出した事業者に処理責任があり、排出事業者自らが処理するか、産業廃棄物処理業者に処理を委託する必要があります。

産業廃棄物処理業とは、他者から委託を受けて産業廃棄物 の処理(収集・運搬又は処分)を行うことをいい、取り扱う産業廃棄 物の区分(産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物)ごと、処理方法(収集・運搬、処分)ごとに、以下の4種類があります。

 

産業廃棄物処理業の種類

取り扱う廃棄物の種類 処理方法 業の種類
産業廃棄物 収集・運搬 ①産業廃棄物収集運搬業
処分 ②産業廃棄物処分業
特別管理産業廃棄物 収集・運搬 ③特別管理産業廃棄物収集運搬業
処分 ④特別管理産業廃棄物処分業

 

産業廃棄物処理業を営もうとする者は、廃棄物の種類ごと、 当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県ごとの許可を受けなければなりません。

例えば、コンクリートくずの収集運搬業の許可を茨城県で所持している産廃業者は、茨城県内の排出事業者から茨城県内の処理業者にコンクリートくずを収集運搬することができます。
しかし、栃木県の排出事業者からコンクリートくずを回収するには栃木県の許可、千葉県の処理業者にコンクリートくずの処理を依頼するため千葉県へ運搬するには千葉県の許可が必要になります。
また、コンクリートくずの許可では木くずの運搬はできないので、木くずも同時に回収してほしいと排出事業者から依頼があった場合は、木くずの許可も必要になります。
ただし、茨城県から群馬県へ運搬するため栃木県を通過する場合でも栃木県の許可は不要です。

排出事業者自ら産業廃棄物を処理する場合には、他者 から委託を受けて 産業廃棄物を処理するものではないため、産業廃棄物処理業の許可は不要です。(自社処理)