遺言・相続

相続で大きな割合を占めるのが土地です。

では、土地の価値はどのように決めるのでしょうか?

土地の価格は実際の売買価格以外に4つの価格がつけられています。

「公示地価」「基準地価」「相続税路線価」「固定資産評価額」

相続税を計算するときの土地の評価額の計算は、土地がある場所により次のように異なります。

(1)相続税路線価が付されている地域→相続税路線価方式で評価
 土地が接する道路について一平方メートルあたりの価値(千円単位)が付されています。
  この相続税路線価に土地の面積をかけたものが、その土地の相続税評価額になります。

(2)相続税路線価が付されていない地域→倍率方式で評価
 土地がある地域について「倍率」が決められています。
  固定資産税評価額に倍率をかけたものが、その土地の相続税評価額になります。

公示価格  
公示価格は地価公示法に基づき、毎年1月1日現在の全国の土地価格を 国土交通省が公表します。
不動産価格の専門家である不動産鑑定士の鑑定評価に基づき土地鑑定委員会が 決定します。

基準地価 
基準地価は7月1日時点の 調査による土地価格です。
調査方法は公示価格とほぼ同じですが、国土交通省ではなく、  都道府県が公表します。

相続税路線価
主要道路に面した土地に対する評価額です。
国税庁が1月1日時点で評価し、8月頃に公表されます。
土地の売買事例や不動産鑑定士の意見を取り入れて決められます。

固定資産税評価額
土地・建物に課税される固定資産税や不動産取得税、  登記の際の登録免許税の基準となる価格です。
は国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が 決定し、原則として3年に1度評価額は見直されます。

おおむね以下の関係になります。
公示価格=基準地価
相続税路線価=市場価格×0.8
固定資産評価額=市場価格×0.7

2015年1月1日(平成27年1月1日)から相続税が大きく変わるのはご存じでしょうか?

なかでも影響が大きいのが基礎控除の引き下げです。

現行:5000万円+1000万円×法定相続人の数

改正後:3000万円+600万円×法定相続人の数

相続人が母親と子ども2人であれば、資産8000万円までなら、税金がかかりません。

これが改正後には、4800万円超で課税の対象になります。

現状では相続税の納税者の割合は約4%(100人亡くなると4人)ほどです。

改正後、基礎控除が引き下げられれば相続税の課税割合は6~7%(100人亡くなると6~7人)程度になると試算されています。

特に、大都市圏で戸建の家を持っていると相続税がかかる場合が多くなります。

 

本屋やインターネット上には遺言に関する書籍や情報があふれています。しかし、実際には遺言を準備している方はまだまだ少ないようです。

平成24年の死亡者数は、 1,256,359人(厚生労働省統計) それに対して遺言書の検認数は、16,014(司法統計)です。

秘密証書遺言は年間100件程度しか作成されませんし、公正証書遺言は検認する必要はありません。
ということは平成24年の死亡者で自筆証書遺言を残していた方はわずか 1.27%です。

実際は、遺言書が見つからなかったり見つかっても検認しない場合もあると思いますが、

それでも遺言書を準備している人はまだ 1桁%ではないでしょうか。

自分にはたいした財産もないし、相続にもめることはないから遺言書はいらない。と思うかもしれませんが。

遺言書が有るか無いか、自筆証書か公正証書かで相続手続きの負担も変わってきます。

相続人になるべく負担をかけず円満な相続手続きを行えるよう準備しておくとことも大きな財産となります。

遺言書は自分の意思を残された人々に伝えるものです。

財産の分割だけでなく、家族に伝えたい思いを書くこともできます。

まずはあまり形式にとらわれず、自分の気持ちを書くことからはじめても良いと思います。

遺言を見つけた側はどのような手続きを行えばよいのか?

遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。

また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。

※ 検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。また、故意に遺言書を隠匿していた場合には、相続欠格者として相続権を失うことになります。

検認を受けていない遺言書では不動産相続の登記手続や金融機関の相続手続きは受け付けてもらえません。

そして、その「検認」を請求するには、被相続人と法定相続人全員の「戸籍類」が必要です。
戸籍は1つだけではなく、戸籍謄本、数種類の改正原戸籍、除籍謄本が存在します。

最低でも
 出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
 法定相続人全員の戸籍謄本
場合によっては、
 父・母・祖父・祖母・兄弟(姉妹)・子供・めいおい
 の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
が必要になります

つまり、まずは被相続人、相続人の戸籍を集めることから始まります。

市役所・商工会議所で行政書士による無料相談会が開かれていますが、その相談の8割は相続に関連した相談だそうです。

それだけ皆さん関心があり、また困っているということです。

相続に関しては様々な手続き・トラブルが発生しますのでシリーズとして記事を書いていこうと思います。

まず、相続の始まりは遺言からでなないでしょうか。一般的には遺書(イショ)や遺言(ユイゴン)と言われますが、法的には遺言と書いて「イゴン」と読みます。ユイゴンでも間違いではありませんが。

現在、遺言に関する情報はインターネットや書籍等であふれており、多少勉強すれば誰でも書けるものになっています。

自筆証書遺言で最低限守らなければならないルールは3つです。

1.全文自筆で書かなければならない。ワープロや代筆は不可です。

2.作成日付を明確に書かなければならない。日にちが特定されなければなりません。

3.署名押印しなければならない。認印でも構いませんが実印をお勧めします。

基本的に守らなければならないルールはこれだけです。用紙や筆記用具、書式などは法律による取り決めはありません。

ただ、やはり重要なのは内容です。内容に相続人が納得できない遺産分割があったり、相続内容が不明確になっている場合には結局遺産分割協議が必要になってしまう事もあり、場合によっては相続人同士の争いの元になることもあります。

これでは遺言を残しておくメリットがなくなってしまいます。

やはり遺言を作成する場合には、全て一人で作成しようとせず、事前に相続人と話し合いをおこなったり、相続遺言の専門家へ相談することが円満に相続を行う秘訣だと言えます。