第1種農地の許可基準 | 農地転用 サイトウ行政書士事務所 茨城県,水戸市,ひたちなか市,那珂市

第1種農地の許可基準

 第1種農地は、おおむね10ヘククール以上の集団的に存在する農地、土地改良事業施行区域内の農地等良好な営農条件を備えている農地であり、農業用施設等を除き原則として許可されません。

ただし、転用行為が次のいずれかに該当するときは、例外的に許可されます。

 

(a)土地収用法第 26 条第1項の規定による告示に係る事業の用に供するために行われるものであること。

 

(b)申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。一時転用の許可期間(農用地区域以外)は、5年を限度とする。 なお、「当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められる」場合とは、用地選定の任意性(他の土地での代替可能性)がないか、又はこれを要求することが不適当と認められる場合である。

 

(c)申請に係る農地を農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設その他地域の農業の振興に資する施設として、次に掲げる施設の用に供するために行われるものであること。
ただし、次の(ア)から(エ)については、第1種農地及び甲種農地以外の周辺の土地に設置することによってはその目的を達成することができないと認められるものに限る。(事業計画に関する書面において候補地検討を行うこと。)

(ア)都市住民の農業の体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設(市民農園等の農業体験施設等)

(イ)農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設なお、「農業従事者」には、農業従事者の世帯員(住居及び生計を一にする親族)も含まれる。また、「就業機会の増大に寄与する」か否かは、当該施設に雇用されることとなる者に占める当該農業従事者の割合が3割以上であれば、これに該当するものとして扱うものとする。事業者と当該市町村長間に雇用協定を締結すること。また、農業従事者の人数等を記載した雇用計画書を添付すること。市町村長は、許可後も農業従事者が実際に雇用されるよう必要に応じ、確認を行うこと。

(ウ)農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設(集会施設、上下水道施設、農村広場、農村公園等)

(エ)住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの。なお、「その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設」については、集落を相手とする商店や農機具の販売・修理店あるいは医院等その集落と切っても切れない関係にあるものや都市計画法第 34 条1号店舗及びそれに類するものを想定している。

*  この基準は、集落の通常の発展の範囲内で集落を核とした滲み出し的に行われる農地の転用は認める趣旨であること。
*  集落に接続して存する第1種農地にあっては、これらの土地以外の周辺の土地に設置されることによってはその目的を達成することができないと認められるものに限ることから、事業計画に関する書面により候補地の検討が十分に行われていることを確認すること。
*  住宅とは、人が居住の用に供する建築物をいい、例示すれば、自己住宅(自己の居住の用に供する専用住宅)、農家住宅、建売住宅(ただし、1転用事業につき1戸のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数戸の建売住宅は含めない。)、集合住宅(共同住宅(アパート、マンションなど)。ただし、1転用事業につき1棟のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数棟の集合住宅は含めない。)、長屋住宅(タウンハウス等)・社宅・寮(いずれも1転用事業につき1棟のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数棟の建築は含めない。)が想定される。なお、申請に係る土地の周辺の地域において居住する者以外の者の住宅であっても該当する。
*  居住とは、自然人は住所をおいていることであり、法人は事務所、本店、支店、作業所等の名称に関わらず建築物を伴う施設(以下「事務所」という。)を有し、その建物に人が常駐して法人活動を行っていることをいう。
*  申請に係る土地の周辺の地域とは、次の場合をいう。
・申請に係る土地と同一大字にある地域
・申請に係る土地の大字に隣接する大字にある地域(ただし、申請に係る土地から 500 メートル以内に限る)
*  集落とは、相当数の住宅がまとまって立地している状況をいう。具体的には、住宅が6戸以上連たんしている状況をいう。 ただし、次の一に該当する場合は、戸数を3戸以上とする。
・現に居住している住宅が被災し、移転せざるを得ない場合。なお、罹災証明書により建物の被害区分が「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」に該当する場合とする。
・現に居住している住宅の存する土地が急傾斜地又はがけ等の危険地帯にあって、危険あると客観的に判断される場合。
・過疎地域自立促進特別措置法(平成 12 年法律第 15 号)で指定された過疎地域である場合。
・山村振興法(昭和 40 年法律第 64 号)で指定された振興山村の区域内である場合。
*  連たんを判断する上で、住宅以外の建築物を連たんの対象とすることができる(経由建築物)。(戸数には含めることはできない)
*  接続とは、70 メートル未満に建築物が連たんしている状況をいう。
*  大規模小売店舗立地法に該当する店舗、レジヤー施設又はそれらに類する施設は、周辺地域に居住する者の日常生活又は業務上必要な施設とは認められないので含まないものとする。

 

(d)申請に係る農地を市街地に設置することが困難又は不適当なものとして次に掲げる施設の用に供するために行われるものであること。

(ア)病院、療養所その他の医療事業の用に供する施設でその目的を達成する上で市街地以外の地域に設置する必要があるもの

(イ)火薬庫又は火薬類の製造施設

(ウ)その他(ア)又は(イ)に掲げる施設に類する施設(ガスタンク、屠場、下水処理場等をいい、墓地等の施設については該当させない。)

 

(e)申請に係る農地を特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(ア)調査研究(その目的を達成する上で申請に係る土地をその用に供ずることが必要であるものに限る。)

(イ)土石その他の資源の採取

(ウ)水産動植物の養殖用施設その他これに類するものなお、水産動植物の養殖用施設は、水辺に設置される必要があるため特別の立地条件を必要とするものとして転用を許可し得る。また、「これに類するもの」には「水産ふ化場」等が該当する。

(エ)流通業務施設、休憩所(ドライブイン)、給油所その他これらに類する施設で、次に掲げる区域内に設置されるものなお、「これらに類する施設」には、車両の通行上必要な施設として「自動車修理工場」等の施設やコンビニエンスストア(ただし、駐車場及びトイレを備え休憩のための座席等を有する空間を備えていて、周辺に自動車の運転者が休憩のため利用することができる施設が少ない場合に限る。)が該当する。

*  一般国道又は都道府県道の沿道の区域
*  高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のもめに限る。)の出入ロの周囲おおむね300メートル以内(一般道との接続点を起点とする。)の区域

(オ)既存の施設の拡張(拡張に係る部分の敷地の面積が既存の施設の敷地の面積の1/2を超えないものに限る。)なお、「既存の施設の拡張」とは、既存の施設の機能の維持・拡充等のため既存の施設に隣接する土地に施設を整備することをいう。

(カ)第1種農地に係る法第4条第1項、第5条第1項の許可又は法第4条第1項第7号若しくは第5条第1項第3号の届出に係る事業のために欠くことのできない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路その他の施設

 

(f)申請に係る農地をこれに隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供するために行うものであって、当該事業の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。ただし、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積(農地面積を含む。)に占める申請に係る第1種農地の面積の割合が3分の1を超えず、かつ、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積に占める申請に係る甲種農地の面積の割合が5分の1を超えないものでなければならない。
    第1種農地の面積/開発面積≦1/3
    甲種農地の面積/開発面積≦1/5

 

(g)申請に係る農地を公益性が高いと認められる事業で、次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(ア)土地収用法その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業

(イ)森林法第 25 条第1項各号に掲げる目的を達成するために行われる森林の造成

(ウ)地すべり等防止法第 24 条第1項に規定する関連事業計画若しくは急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第9条第3項に規定する勧告に基づき行われる家屋の移転その他の措置又は同法第 10 条第1項若しくは第2項に規定する命令に基づき行われる急傾斜地崩壊防止工事

(エ)非常災害のために必要な応急措置

(オ)土地改良法第7条第4項に規定する非農用地区域(以下単に「非農用地区域」という。)と定められた区域内にある土地を当該非農用地区域に係る土地改良事業計画に定められた用途に供する行為

*  土地改良事業計画に定められた用途と異なる用途で農地転用許可申請があった場合、則     第37条第5号の規定は適用されないことから、許可できないこととなるため、「非農用地区域の設定を伴う土地改良事業を行う場合における農地法等関連制度との調整措置について(昭和 49 年 7 月 12 日付け農林水産省構造改善局長通知)」に基づき、事前の調整を十分に行う必要があること。

(カ)工場立地法第3条第1項に規定する工場立地調査簿に工場適地として記載された土地の区域(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)内において行われる工場又は事業場の設置

(キ)独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する独立行政法人中小企業基盤整備機構法附則第5条1項第1号に掲げる事業(農業上の土地利用との調整が調った土地の区域内において行われるものに限る。)

(ク)集落地域整備法第5条第1項に規定する集落地区計画の定められた区域(農業上の土地利用との調整が調ったもので、集落地区整備計画(同条第3項に規定する集落地区整備計画をいう。)が定められたものに限る。)内において行われる同項に規定する集落地区施設及び建築物等の整備

(ケ)優良田園住宅の建設の促進に関する法律第4条第1項の認定を受けた同項に規定する優良田園往宅建設計画(同法第4条第4項又は第5項に規定する協議が調ったものに限る。)に従って行われる同法第2条に規定する優良田園住宅の建設

(コ)農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第3条第1項に規定する農用地土壌汚染対策地域として指定された地域内にある農用地(同法第2条第1項に規定する農用地をいう。同法第5条第1項に規定する農用地土壌汚染対策計画において農用地として利用すべき土地の区域として区分された土地の区域内にある農用地を除く。)その他の農用地の土壌の同法第2条第3項に規定する特定有害物質による汚染に起因して当該農用地で生産された農畜産物の流通が著しく困難であり、かつ、当該農用地の周辺の土地の利用状況からみて農用地以外の土地として利用することが適当であると認められる農用地の利用の合理化に資する事業

(サ)農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の促進に関する法律第5条第1項に規定する基本計画に定められた同条第2項第2号に掲げる区域(農業上の土地利用との調整が整ったものに限る。)内において同法第7条第1項に規定する設備整備計画(当該設備整備計画のうち同条第2項第2号に掲げる事項について同法第6条第1項に規定する協議会おける協議が調ったものであり、かつ、同法第7条第4項第1号又は第2号に掲げる行為に係る当該設備整備計画についての協議が調ったものに限る。)に従って行われる同法第3条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の整備

 

(h)地域整備法の定めるところに従って行われる場合で、令第8条第1項各号のいずれかに該当するものその他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合で(ア)の要件に該当するものであること。なお、「地域の農業の振興に関する計画」とは土地の農業上の効率的な利用を図るための措置が講じられているものとして(イ)に掲げる計画に限られる(農業上の土地利用との調整が調った土地の区域内において行われるものに限る。)。

(ア)(イ)の計画においてその種類、位置及び規模が定められている施設を当該計画に従って整備するため行われるものであること。

(イ)農業振興地域の整備に関する法律第8条第1項に規定する市町村農業振興地整備計画に沿って当該計画に係る区域内の農地の効率的な利用を図る観点から市町村が策定する計画