農地の相続等の届出 | 農地転用 サイトウ行政書士事務所 茨城県,水戸市,ひたちなか市,那珂市

農地の相続等の届出

相続などにより農地の権利を取得した場合は、「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を農業委員会へ届け出る必要があります。

農地について売買、賃借をする場合には、あらかじめ農業委員会の許可を受けなければならないこととされていますが、相続した場合には、当該許可は不要とされています(農地法第3条)。これが、法改正により、平成21年12月以降、農地を相続した場合に、事後、農業委員会にその旨を届け出なければならないこととされました(農地法第3条の3)。

届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は、10万円以下の過料に処せられます。

【届出が必要な権利取得】
(1)相続により権利を取得した場合
(2)遺産の分割、財産の分与に関する裁判(調停)、相続財産の分与に関する裁判によって権利を取得した場合
(3)包括遺贈により権利を取得した場合
(4)土地収用法、都市計画法、鉱業法による買受権により権利を取得した場合
(5)時効取得により権利を取得した場合
(6)法人の合併、分割等により権利を取得した場合

【届出の期間】
権利を取得したことを知った日から10か月以内

【届出方法】
農業委員会の窓口へ届出書を1部提出してください。

※この届出は農業委員会が農地の権利移動を把握するためのものです。権利取得の効力を発生させるものではありません。
※この届出は所有権移転登記に代わるものではありません。登記は別途必要です。

森林にいても法改正により平成24年4月以降売買又は相続等の原因如何に関わらず新たに森林の土地の所有者となった者は、事後、市町村にその旨を届け出なければならないこととされました(森林法10条の7の2)。

現在、農地・森林を相続した人のうち、1~2割は、不動産登記簿への登記、市町村や農業委員会への所有者変更の届け出、森林組合・農協への組合員変更の届け出、市町村資産税部局への相続人代表指定の届け出のいずれの手続きもしていません。

そのため、全国で所有者が分からない農地や森林が増えています。所有者が分からないために、農業や林業を集約化して効率を高めることが出来ない、企業やNPO等が国土の管理に新たに参入する上で支障となる、防災、災害復旧を行う際に支障が生じる、身元の知れない所有者による土地の放置等に対する地域の不安の増大など、様々な問題が発生しています。

自らが農地や森林の相続人であることを、相続時に初めて気づく人もいます。また、自らが相続人であることに気づいていない人も多くいると予想されます。

相続財産に森林や農地が含まれていないか以下の点をチェックしてください。

・遺品のなかに、農地や森林の権利書や固定資産税の納付書はありませんか。

・亡くなった方やその先代が、農山村に住んでいませんでしたか。あるいは一時的に住んでいたことがありませんか。

・相続財産のなかに、農山村の宅地が含まれていませんか。

・相続財産のなかに、農山村に位置する金融機関の預貯金がありませんか。

相続時に、亡くなった方が森林や農地を所有していたことを知っていても、他の財産は相続したいけれども、森林や農地は放置しておきたいという方も多いようです。そのような方も、せめて、誰かに売りたい、誰かに任せたいという意思表示を行政側にしておけば、行政側が所有者の所在を掴むことができます。後々その機会が訪れるかもしれません。そういう意味でも相続時の届出は必ず行ってください。