農地の区分 | 農地転用 サイトウ行政書士事務所 茨城県,水戸市,ひたちなか市,那珂市

農地の区分

農地は、農用地区域内にある農地、第1種農地、甲種農地、第3種農地及び第2種農地の区分に分かれています。農地区分ごとに定められた許可の基準があり、これを「立地基準」と言います。

 

1.農用地区域内にある農地

 

農業振興地域の整備に関する法律に基づき市町村が定める農業振興地域整備計画において、農用地等として利用すべき土地として定められた土地の区域(農用地区域)内にある農地

 

2.第1種農地(第2種農地又は第3種農地に該当する農地を除く。)

 

農用地区域内にある農地以外の農地であって、良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件のいずれかに該当するもの。

 

(1)集団的に存在している農地

 

おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地 「一団の農地」とは、河川、道路、鉄道、山林、宅地等の農地以外の地目によって、包囲又は分断されている農地のまとまりをいう。
なお、「一団の農地」を判断するうえで、分断されているか否かの判断は、実際に、農業機械が容易に横断し又は迂回することができるか否か等により、一体として利用することに支障があるかどうかを個別事案ごとに判断するものであり、分断と認められる目安は次のとおりである。
(ア) 道路
a  国道、高速道路
b  a以外の道路については、片側2車線以上の道路
c  a、b以外の道路については、中央分離帯が設置されている道路
(イ) 河川
1級河川、2級河川、河川法第100条に規定する準用河川(但し、いずれの河川においても、通作に支障がないと認められる場合を除く)
(ウ) 分断と認められる自然条件
山林など農地以外の土地

 

(2)土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地

 

土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業又はこれに準ずる事業で、次の(ア)及び(イ)の要件を満たす事業の施行に係る区域内にある農地 ただし、用排水事業については、受益が広範囲に及ぶことが多く、生産性の低い孤立した農地が不可避的に受益地に含まれている場合があるので、そのことのみをもって第1種農地として取り扱わず、生産性と合わせて総合的に判断することとする。
(ア)次のいずれかに該当する事業(主として農地又は採草放牧地の災害を防止することを目的とするものを除く。)であること。
a  農業用用排水施設の新設又は変更
b  区画整理
c  農地又は採草放牧地の造成
d  埋立て又は干拓
e  客土、暗きょ排水その他の農地又採草放牧地の改良又は保全のため必要な事業
(イ)次のいずれかに該当する事業であること。
a  国又は地方公共団体が行う事業
b  国又は地方公共団体が直接又は間接に経費の全部又は一部につき補助その他の助成を行う事業
c  農業改良資金助成法に基づき地方公共団体から資金の貸付けを受けて行う事業
d  農林漁業金融公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

 

(3)農業生産力の高い農地

 

傾斜、土性その他の自然的条件からみてその近傍の標準的な農地を超える生産をあげることができると認められる農地。 なお、本項目に該当するかどうかの判定は、具体的にには市町村が独自に作成する資料、小作料の標準額を定める場合の農地区分ごとの収量、農業災害補償法の規定による基準収量その他の資料により総合的に判断する。

3.甲種農地

 

第1種農地の要件に該当する農地のうち市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件のいずれかに該当するもの。

 

(1)おおむね10ヘククール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地のうち、その区画の面積、形状、傾斜及び土性が高性能農業機械による営農に適するものと認められること。なお、「高性能農業機械による営農に適する」と認められるかどうかの判断は、「茨城県における特定高性能農業機械の導入に関する計画」におけるトラククー、コンバイン又は田植機の導入のためのほ場整備条件を目安とする。

 

(2) 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地のうち、当該事業の工事が完了した年度の翌年度から起算して8年を経過したもの以外のもの。ただし特定土地改良事業等のうち、農地を開発すること又は農地の形質に変更を加えることによって当該農地を改良し若しくは保全することを目的とする事業(いわゆる面的整備事業)で次に掲げる基準に適合するものの施行に係る区域内にあるものに限られる。

 

(ア)2.の(2)の(ア)のbからeまでに掲げる事業のいずれかに該当する事業であること。
(イ)次のいずれかに該当する事業であること。
a  国又は都道府県が行う事業
b  国又は都道府県が直接又は間接に経費の全部又は一部を補助する事業 なお、市街化調整区域は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、市街化を抑制すべき地域として定められたものであることから、そこにおける優良農地は極力保存しなければならない。 したがって、甲種農地に該当する農地は、第3種農地又は第2種農地の要件に該当する場合であっても、甲種農地として扱うこととされている。

 

4.第3種農地(甲種農地に該当する農地を除く。)

 

農用地区域内にある農地以外の農地であって、市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地のうち、次に掲げる区域内にあるもの。

 

(1)道路、下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況が次に掲げる程度に達している区域

 

(ア)水管、下水道管又はガス管のうち2種類以上が埋設されている道路(幅員4メートル以上の道及び建築基準法第42条第2項の指定を受けた道で現に一般交通の用に供されているものをいい、高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のものに限る。)及び農業用道路を除く。)の沿道の区域であって、容易にこれらの施設の便益を享受することができ、かつ、申請に係る農地又は採草放牧地からおおむね500メートル以内に2以上の教育施設(※1)、医療施設(※2)、その他(※3)の公共施設又は公益的施設が存すること。
※1  学校教育法で定める学校
※2  医療法で定める病院及び診療所
※3  日常生活に欠くことのできない施設で住宅等を誘致する性格の強い施設(県庁・市役所・町村役場・保育所)
(イ)申請に係る農地又は採草放牧地からおおむね300メートル以内に次に掲げる施設におけるそれぞれの(  )内に示す基準点のいずれかが存すること。
a  鉄道の駅、軌道の停車場又は船舶の発着場(基準点:改札ロ)
b  高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のものに限る。)の出入口(基準点:一般道との接続地点)
c  都道府県庁、市・区・町村役場(支所を含む。)(基準点:核となる建物施設の出入ロ)
d  その他aからcまでに掲げる施設に類する施設 具体的には、「バスターミナル」が想定される。(基準点:核となる建物施設の出入ロ)

 

(2)宅地化の状況が次に掲げる程度に達している区域

 

(ア)住宅の用若しくは事業の用に供する施設又は公共施設若しくは公益的施設が連たんしていること。
※連たん…70 メートル未満に接続すること。
(イ)街区(道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によって区画された地域をいう。以下同じ。)の面積に占める宅地の面積の割合が40パーセントを超えていること。
(ウ)都市計画法第8条第1項第1号に規定する用途地域が定められていること(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)

 

(3)土地区画整理法第2条第1項に規定する土地区画整理事業又はこれに準ずる事業として省令で定めるものの施行に係る区域

 

5.第2種農地(甲種農地又は第3種農地に該当する農地を除く。)

(1)農用地区域内にある農地以外の農地であって、第3種農地の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地のうち、次に揚げる区域内にあるもの

 

(ア)道路,下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況からみて④の(1)に掲げる区域に該当するものとなることが見込まれる区域として次に掲げるもの
a 相当数の街区を形成している区域(則第45条第1号)
b  ④の(1)の(イ)のa、c又はdに掲げる施設におけるそれぞれの(  )内に示す基準点の周囲おおむね500メートル(当該施設を中心とする半径500メートルの円で囲まれる区域の面積に占める当該区域内にある宅地の面積の割合が40パーセントを超える場合にあっては、その割合が40パーセントとなるまで当該施設を中心とする円の半径を延長したときの当該半径の長さ又は1キロメートルのいずれか短い距離)以内の区域
(イ)宅地化の状況からみて④の(2)に掲げる区域に該当するものとなることが見込まれる区域として、宅地化の状況が④の(2)の(ア)に掲げる程度に達している区域に近接する区域内にある農地の区域で、その規模がおおむね10ヘクタール未満であるもの(令第14条第2号、則第46条)

 

(2)農用地区域内にある農地以外の農地であって、甲種農地、第1種農地及び第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地であり、具体的には、農業公共投資の対象となっていない小集団の生産性の低い農地等なお、本項目に該当するかどうかの判断に当たっては、たとえ小集団の農地であっても農業生産力の高い第1種農地に該当する場合(②の(c)参照)があるので、注意する必要がある。

 

6.判定

 

農地区分の判定に当たっては、次の点に留意する必要がある。
・  甲種農地の要件に該当する農地は、同時に第2種農地又は第3種農地の要件にも該当する場合であっても、甲種農地とする。
・  第3種農地の要件に該当する農地は,同時に第1種農地の要件に該当する場合であっても、第3種農地とする。
・  第2種農地のaの要件に該当する農地は、同時に第1種農地の要件に該当する場合であっても、第2種農地とする。
・  第2種農地のbは、他の農地区分のいずれにも該当しない農地とする。 したがって、農地区分の判定手順は次のとおりとなる。

 

(1)農用地区域内の農地であるか
(2)甲種農地に該当するか(市街化調整区域の場合)
(3)第3種農地に該当するか
(4)第2種農地のaに該当するか
(5)第1種農地に該当するか
(6)第2種農地のbと判断してよいか