農地法

甲種農地は、第1種農地の条件を満たす農地であって、市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等特に良好な営農条件を備えている農地であり、甲種農地の転用は原則として許可されません。

ただし、転用行為が次のいずれかに該当するときは、例外的に許可されます。

(a)土地収用法第 26 条第1項の規定による告示に係る事業の用に供するために行われるものであること。

(b)申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。一時転用の許可期間(農用地区域以外)は、5年を限度とする。 なお、「当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められる」場合とは、用地選定の任意性(他の土地での代替可能性)がないか、又はこれを要求することが不適当と認められる場合である。

(c)申請に係る農地を農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設その他地域の農業の振興に資する施設として、次に掲げる施設の用に供するために行われるものであること。
ただし、次の(ア)から(エ)については、第1種農地及び甲種農地以外の周辺の土地に設置することによってはその目的を達成することができないと認められるものに限る。(事業計画に関する書面において候補地検討を行うこと。)
なお、(エ)に掲げる施設については、敷地面積がおおむね500平方メートルを超えないものに限る。

(ア)都市住民の農業の体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設(市民農園等の農業体験施設等)

(イ)農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設なお、「農業従事者」には、農業従事者の世帯員(住居及び生計を一にする親族)も含まれる。また、「就業機会の増大に寄与する」か否かは、当該施設に雇用されることとなる者に占める当該農業従事者の割合が3割以上であれば、これに該当するものとして扱うものとする。事業者と当該市町村長間に雇用協定を締結すること。また、農業従事者の人数等を記載した雇用計画書を添付すること。市町村長は、許可後も農業従事者が実際に雇用されるよう必要に応じ、確認を行うこと。

(ウ)農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設(集会施設、上下水道施設、農村広場、農村公園等)

(エ)住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの。なお、「その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設」については、集落を相手とする商店や農機具の販売・修理店あるいは医院等その集落と切っても切れない関係にあるものや都市計画法第 34 条1号店舗及びそれに類するものを想定している。

(d)申請に係る農地を特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(ア)調査研究(その目的を達成する上で申請に係る土地をその用に供ずることが必要であるものに限る。)

(イ)土石その他の資源の採取

(ウ)水産動植物の養殖用施設その他これに類するものなお、水産動植物の養殖用施設は、水辺に設置される必要があるため特別の立地条件を必要とするものとして転用を許可し得る。また、「これに類するもの」には「水産ふ化場」等が該当する。

(エ)流通業務施設、休憩所(ドライブイン)、給油所その他これらに類する施設で、次に掲げる区域内に設置されるものなお、「これらに類する施設」には、車両の通行上必要な施設として「自動車修理工場」等の施設やコンビニエンスストア(ただし、駐車場及びトイレを備え休憩のための座席等を有する空間を備えていて、周辺に自動車の運転者が休憩のため利用することができる施設が少ない場合に限る。)が該当する。

(オ)既存の施設の拡張(拡張に係る部分の敷地の面積が既存の施設の敷地の面積の1/2を超えないものに限る。)なお、「既存の施設の拡張」とは、既存の施設の機能の維持・拡充等のため既存の施設に隣接する土地に施設を整備することをいう。

(e) 申請に係る農地をこれに隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供するために行うものであって、当該事業の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。ただし、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積(農地面積を含む。)に占める申請に係る第1種農地の面積の割合が3分の1を超えず、かつ、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積に占める申請に係る甲種農地の面積の割合が5分の1を超えないものでなければならない。
    第1種農地の面積/開発面積≦1/3
    甲種農地の面積/開発面積≦1/5

(f)申請に係る農地を公益性が高いと認められる事業で、次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(イ)森林法第 25 条第1項各号に掲げる目的を達成するために行われる森林の造成

(エ)非常災害のために必要な応急措置

(オ)土地改良法第7条第4項に規定する非農用地区域(以下単に「非農用地区域」という。)と定められた区域内にある土地を当該非農用地区域に係る土地改良事業計画に定められた用途に供する行為

(ク)集落地域整備法第5条第1項に規定する集落地区計画の定められた区域(農業上の土地利用との調整が調ったもので、集落地区整備計画(同条第3項に規定する集落地区整備計画をいう。)が定められたものに限る。)内において行われる同項に規定する集落地区施設及び建築物等の整備

(ケ)優良田園住宅の建設の促進に関する法律第4条第1項の認定を受けた同項に規定する優良田園往宅建設計画(同法第4条第4項又は第5項に規定する協議が調ったものに限る。)に従って行われる同法第2条に規定する優良田園住宅の建設

(コ)農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第3条第1項に規定する農用地土壌汚染対策地域として指定された地域内にある農用地(同法第2条第1項に規定する農用地をいう。同法第5条第1項に規定する農用地土壌汚染対策計画において農用地として利用すべき土地の区域として区分された土地の区域内にある農用地を除く。)その他の農用地の土壌の同法第2条第3項に規定する特定有害物質による汚染に起因して当該農用地で生産された農畜産物の流通が著しく困難であり、かつ、当該農用地の周辺の土地の利用状況からみて農用地以外の土地として利用することが適当であると認められる農用地の利用の合理化に資する事業

(g) 地域整備法の定めるところに従って行われる場合で、令第8条第1項各号のいずれかに該当するものその他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合で(ア)の要件に該当するものであること。なお、「地域の農業の振興に関する計画」とは土地の農業上の効率的な利用を図るための措置が講じられているものとして(イ)に掲げる計画に限られる(農業上の土地利用との調整が調った土地の区域内において行われるものに限る。)。

(ア)(イ)の計画においてその種類、位置及び規模が定められている施設を当該計画に従って整備するため行われるものであること。

(イ)農業振興地域の整備に関する法律第8条第1項に規定する市町村農業振興地整備計画に沿って当該計画に係る区域内の農地の効率的な利用を図る観点から市町村が策定する計画

 第1種農地は、おおむね10ヘククール以上の集団的に存在する農地、土地改良事業施行区域内の農地等良好な営農条件を備えている農地であり、農業用施設等を除き原則として許可されません。

ただし、転用行為が次のいずれかに該当するときは、例外的に許可されます。

 

(a)土地収用法第 26 条第1項の規定による告示に係る事業の用に供するために行われるものであること。

 

(b)申請に係る農地を仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。一時転用の許可期間(農用地区域以外)は、5年を限度とする。 なお、「当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められる」場合とは、用地選定の任意性(他の土地での代替可能性)がないか、又はこれを要求することが不適当と認められる場合である。

 

(c)申請に係る農地を農業用施設、農畜産物処理加工施設、農畜産物販売施設その他地域の農業の振興に資する施設として、次に掲げる施設の用に供するために行われるものであること。
ただし、次の(ア)から(エ)については、第1種農地及び甲種農地以外の周辺の土地に設置することによってはその目的を達成することができないと認められるものに限る。(事業計画に関する書面において候補地検討を行うこと。)

(ア)都市住民の農業の体験その他の都市等との地域間交流を図るために設置される施設(市民農園等の農業体験施設等)

(イ)農業従事者の就業機会の増大に寄与する施設なお、「農業従事者」には、農業従事者の世帯員(住居及び生計を一にする親族)も含まれる。また、「就業機会の増大に寄与する」か否かは、当該施設に雇用されることとなる者に占める当該農業従事者の割合が3割以上であれば、これに該当するものとして扱うものとする。事業者と当該市町村長間に雇用協定を締結すること。また、農業従事者の人数等を記載した雇用計画書を添付すること。市町村長は、許可後も農業従事者が実際に雇用されるよう必要に応じ、確認を行うこと。

(ウ)農業従事者の良好な生活環境を確保するための施設(集会施設、上下水道施設、農村広場、農村公園等)

(エ)住宅その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設で集落に接続して設置されるもの。なお、「その他申請に係る土地の周辺の地域において居住する者の日常生活上又は業務上必要な施設」については、集落を相手とする商店や農機具の販売・修理店あるいは医院等その集落と切っても切れない関係にあるものや都市計画法第 34 条1号店舗及びそれに類するものを想定している。

*  この基準は、集落の通常の発展の範囲内で集落を核とした滲み出し的に行われる農地の転用は認める趣旨であること。
*  集落に接続して存する第1種農地にあっては、これらの土地以外の周辺の土地に設置されることによってはその目的を達成することができないと認められるものに限ることから、事業計画に関する書面により候補地の検討が十分に行われていることを確認すること。
*  住宅とは、人が居住の用に供する建築物をいい、例示すれば、自己住宅(自己の居住の用に供する専用住宅)、農家住宅、建売住宅(ただし、1転用事業につき1戸のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数戸の建売住宅は含めない。)、集合住宅(共同住宅(アパート、マンションなど)。ただし、1転用事業につき1棟のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数棟の集合住宅は含めない。)、長屋住宅(タウンハウス等)・社宅・寮(いずれも1転用事業につき1棟のみの申請について認めるものとし、同一、同時期の申請で複数棟の建築は含めない。)が想定される。なお、申請に係る土地の周辺の地域において居住する者以外の者の住宅であっても該当する。
*  居住とは、自然人は住所をおいていることであり、法人は事務所、本店、支店、作業所等の名称に関わらず建築物を伴う施設(以下「事務所」という。)を有し、その建物に人が常駐して法人活動を行っていることをいう。
*  申請に係る土地の周辺の地域とは、次の場合をいう。
・申請に係る土地と同一大字にある地域
・申請に係る土地の大字に隣接する大字にある地域(ただし、申請に係る土地から 500 メートル以内に限る)
*  集落とは、相当数の住宅がまとまって立地している状況をいう。具体的には、住宅が6戸以上連たんしている状況をいう。 ただし、次の一に該当する場合は、戸数を3戸以上とする。
・現に居住している住宅が被災し、移転せざるを得ない場合。なお、罹災証明書により建物の被害区分が「全壊」、「大規模半壊」、「半壊」に該当する場合とする。
・現に居住している住宅の存する土地が急傾斜地又はがけ等の危険地帯にあって、危険あると客観的に判断される場合。
・過疎地域自立促進特別措置法(平成 12 年法律第 15 号)で指定された過疎地域である場合。
・山村振興法(昭和 40 年法律第 64 号)で指定された振興山村の区域内である場合。
*  連たんを判断する上で、住宅以外の建築物を連たんの対象とすることができる(経由建築物)。(戸数には含めることはできない)
*  接続とは、70 メートル未満に建築物が連たんしている状況をいう。
*  大規模小売店舗立地法に該当する店舗、レジヤー施設又はそれらに類する施設は、周辺地域に居住する者の日常生活又は業務上必要な施設とは認められないので含まないものとする。

 

(d)申請に係る農地を市街地に設置することが困難又は不適当なものとして次に掲げる施設の用に供するために行われるものであること。

(ア)病院、療養所その他の医療事業の用に供する施設でその目的を達成する上で市街地以外の地域に設置する必要があるもの

(イ)火薬庫又は火薬類の製造施設

(ウ)その他(ア)又は(イ)に掲げる施設に類する施設(ガスタンク、屠場、下水処理場等をいい、墓地等の施設については該当させない。)

 

(e)申請に係る農地を特別の立地条件を必要とする次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(ア)調査研究(その目的を達成する上で申請に係る土地をその用に供ずることが必要であるものに限る。)

(イ)土石その他の資源の採取

(ウ)水産動植物の養殖用施設その他これに類するものなお、水産動植物の養殖用施設は、水辺に設置される必要があるため特別の立地条件を必要とするものとして転用を許可し得る。また、「これに類するもの」には「水産ふ化場」等が該当する。

(エ)流通業務施設、休憩所(ドライブイン)、給油所その他これらに類する施設で、次に掲げる区域内に設置されるものなお、「これらに類する施設」には、車両の通行上必要な施設として「自動車修理工場」等の施設やコンビニエンスストア(ただし、駐車場及びトイレを備え休憩のための座席等を有する空間を備えていて、周辺に自動車の運転者が休憩のため利用することができる施設が少ない場合に限る。)が該当する。

*  一般国道又は都道府県道の沿道の区域
*  高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のもめに限る。)の出入ロの周囲おおむね300メートル以内(一般道との接続点を起点とする。)の区域

(オ)既存の施設の拡張(拡張に係る部分の敷地の面積が既存の施設の敷地の面積の1/2を超えないものに限る。)なお、「既存の施設の拡張」とは、既存の施設の機能の維持・拡充等のため既存の施設に隣接する土地に施設を整備することをいう。

(カ)第1種農地に係る法第4条第1項、第5条第1項の許可又は法第4条第1項第7号若しくは第5条第1項第3号の届出に係る事業のために欠くことのできない通路、橋、鉄道、軌道、索道、電線路、水路その他の施設

 

(f)申請に係る農地をこれに隣接する土地と一体として同一の事業の目的に供するために行うものであって、当該事業の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められるものであること。ただし、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積(農地面積を含む。)に占める申請に係る第1種農地の面積の割合が3分の1を超えず、かつ、申請に係る事業の目的に供すべき土地の面積に占める申請に係る甲種農地の面積の割合が5分の1を超えないものでなければならない。
    第1種農地の面積/開発面積≦1/3
    甲種農地の面積/開発面積≦1/5

 

(g)申請に係る農地を公益性が高いと認められる事業で、次のいずれかに該当するものに関する事業の用に供するために行われるものであること。

(ア)土地収用法その他の法律により土地を収用し、又は使用することができる事業

(イ)森林法第 25 条第1項各号に掲げる目的を達成するために行われる森林の造成

(ウ)地すべり等防止法第 24 条第1項に規定する関連事業計画若しくは急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第9条第3項に規定する勧告に基づき行われる家屋の移転その他の措置又は同法第 10 条第1項若しくは第2項に規定する命令に基づき行われる急傾斜地崩壊防止工事

(エ)非常災害のために必要な応急措置

(オ)土地改良法第7条第4項に規定する非農用地区域(以下単に「非農用地区域」という。)と定められた区域内にある土地を当該非農用地区域に係る土地改良事業計画に定められた用途に供する行為

*  土地改良事業計画に定められた用途と異なる用途で農地転用許可申請があった場合、則     第37条第5号の規定は適用されないことから、許可できないこととなるため、「非農用地区域の設定を伴う土地改良事業を行う場合における農地法等関連制度との調整措置について(昭和 49 年 7 月 12 日付け農林水産省構造改善局長通知)」に基づき、事前の調整を十分に行う必要があること。

(カ)工場立地法第3条第1項に規定する工場立地調査簿に工場適地として記載された土地の区域(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)内において行われる工場又は事業場の設置

(キ)独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する独立行政法人中小企業基盤整備機構法附則第5条1項第1号に掲げる事業(農業上の土地利用との調整が調った土地の区域内において行われるものに限る。)

(ク)集落地域整備法第5条第1項に規定する集落地区計画の定められた区域(農業上の土地利用との調整が調ったもので、集落地区整備計画(同条第3項に規定する集落地区整備計画をいう。)が定められたものに限る。)内において行われる同項に規定する集落地区施設及び建築物等の整備

(ケ)優良田園住宅の建設の促進に関する法律第4条第1項の認定を受けた同項に規定する優良田園往宅建設計画(同法第4条第4項又は第5項に規定する協議が調ったものに限る。)に従って行われる同法第2条に規定する優良田園住宅の建設

(コ)農用地の土壌の汚染防止等に関する法律第3条第1項に規定する農用地土壌汚染対策地域として指定された地域内にある農用地(同法第2条第1項に規定する農用地をいう。同法第5条第1項に規定する農用地土壌汚染対策計画において農用地として利用すべき土地の区域として区分された土地の区域内にある農用地を除く。)その他の農用地の土壌の同法第2条第3項に規定する特定有害物質による汚染に起因して当該農用地で生産された農畜産物の流通が著しく困難であり、かつ、当該農用地の周辺の土地の利用状況からみて農用地以外の土地として利用することが適当であると認められる農用地の利用の合理化に資する事業

(サ)農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の促進に関する法律第5条第1項に規定する基本計画に定められた同条第2項第2号に掲げる区域(農業上の土地利用との調整が整ったものに限る。)内において同法第7条第1項に規定する設備整備計画(当該設備整備計画のうち同条第2項第2号に掲げる事項について同法第6条第1項に規定する協議会おける協議が調ったものであり、かつ、同法第7条第4項第1号又は第2号に掲げる行為に係る当該設備整備計画についての協議が調ったものに限る。)に従って行われる同法第3条第2項に規定する再生可能エネルギー発電設備の整備

 

(h)地域整備法の定めるところに従って行われる場合で、令第8条第1項各号のいずれかに該当するものその他地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に従って行われる場合で(ア)の要件に該当するものであること。なお、「地域の農業の振興に関する計画」とは土地の農業上の効率的な利用を図るための措置が講じられているものとして(イ)に掲げる計画に限られる(農業上の土地利用との調整が調った土地の区域内において行われるものに限る。)。

(ア)(イ)の計画においてその種類、位置及び規模が定められている施設を当該計画に従って整備するため行われるものであること。

(イ)農業振興地域の整備に関する法律第8条第1項に規定する市町村農業振興地整備計画に沿って当該計画に係る区域内の農地の効率的な利用を図る観点から市町村が策定する計画

農地転用の審査は初めに農地区分ごとに定めた立地基準について行い、次に農地区分にかかわらず一般基準について審査が行われます。
立地基準の審査は、申請地の農地区分についての判定を行った上で、申請内容が該当する農地区分において許可可能なものであるかどうかを判断されます。

 

1.農用地区域内農地の許可基準

 

農業振興地域内では、農用地として利用する土地の区域を農用地区域としており、優良な農地の保全のために農業以外の目的による利用が制限されています。

原則として許可されません。

ただし、次のいずれかに該当するときは、例外的に許可される場合があります。

 

(1)土地収用法第 26 条第1項の規定による告示(他の法律の規定による告示又は公告で同項の規定による告示とみなされるものを含む。以下同じ。)に係る事業の用に供するために行われるものであること。

 

(2)農業振興地域の整備に関する法律第8条第4項に規定する農用地利用計画において指定された用途に供するために行われるものであること。具体的には、農業振興地域の整備に関する法律上の農業用施設用地に農業用施設(畜舎、農業用倉庫等)を建築するために転用する行為が該当する。

 

(3)次のすべてに該当するものであること。

(ア)申請に係る農地を仮設工作物の設置その他一時的な利用に供するために行うものであって、当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要と認められるものであること。(3年を限度)なお、「当該利用の目的を達成する上で当該農地を供することが必要であると認められる」とは、用地選定の任意性(他の土地での代替可能性)がないか、又はこれを要求することが不適当と認められる場合であって、第1種農地において許可できる場合に該当するものが対象となり得る。

(イ)農業振興地域の整備に関する法律第8条第1項の規定により定められた農業振興地域整備計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められるものであること。

 

2.農用地区域に含まれる農地の除外(農振除外申請)

 

農用地区域内の農地転用については、農用地利用計画において指定された用途に供する場合以外認められていません。
農用地区域内の農地を農地転用したい場合は、農地転用の許可申請前に農用地区域からの除外手続きが必要となります。
農地転用したい農地が農業振興地域の農用地区域に該当していた場合の申請のことを農業振興からの除外、つまり農振除外といいます。この農用地区域内の農地を農地法による転用許可を受ける前に農用地区域からの除外(農振除外)をする必要があります。この申請を農振除外申請と言います。

農振除外には下記の要件を全て満たしている必要があります。

(1)具体的な転用計画や土地利用に関する計画が明確であり、かつ緊急性が認められること。
(2)申請地以外に代替する土地がないこと。
(3)農用地区域内の農地の集団化や作業の効率化に支障を及ぼすおそれがないこと。
(4)農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと。
(5)土地改良事業の完了年度の翌日から起算して8年を経過した土地であること。

農地は、農用地区域内にある農地、第1種農地、甲種農地、第3種農地及び第2種農地の区分に分かれています。農地区分ごとに定められた許可の基準があり、これを「立地基準」と言います。

 

1.農用地区域内にある農地

 

農業振興地域の整備に関する法律に基づき市町村が定める農業振興地域整備計画において、農用地等として利用すべき土地として定められた土地の区域(農用地区域)内にある農地

 

2.第1種農地(第2種農地又は第3種農地に該当する農地を除く。)

 

農用地区域内にある農地以外の農地であって、良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件のいずれかに該当するもの。

 

(1)集団的に存在している農地

 

おおむね10ヘクタール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地 「一団の農地」とは、河川、道路、鉄道、山林、宅地等の農地以外の地目によって、包囲又は分断されている農地のまとまりをいう。
なお、「一団の農地」を判断するうえで、分断されているか否かの判断は、実際に、農業機械が容易に横断し又は迂回することができるか否か等により、一体として利用することに支障があるかどうかを個別事案ごとに判断するものであり、分断と認められる目安は次のとおりである。
(ア) 道路
a  国道、高速道路
b  a以外の道路については、片側2車線以上の道路
c  a、b以外の道路については、中央分離帯が設置されている道路
(イ) 河川
1級河川、2級河川、河川法第100条に規定する準用河川(但し、いずれの河川においても、通作に支障がないと認められる場合を除く)
(ウ) 分断と認められる自然条件
山林など農地以外の土地

 

(2)土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地

 

土地改良法第2条第2項に規定する土地改良事業又はこれに準ずる事業で、次の(ア)及び(イ)の要件を満たす事業の施行に係る区域内にある農地 ただし、用排水事業については、受益が広範囲に及ぶことが多く、生産性の低い孤立した農地が不可避的に受益地に含まれている場合があるので、そのことのみをもって第1種農地として取り扱わず、生産性と合わせて総合的に判断することとする。
(ア)次のいずれかに該当する事業(主として農地又は採草放牧地の災害を防止することを目的とするものを除く。)であること。
a  農業用用排水施設の新設又は変更
b  区画整理
c  農地又は採草放牧地の造成
d  埋立て又は干拓
e  客土、暗きょ排水その他の農地又採草放牧地の改良又は保全のため必要な事業
(イ)次のいずれかに該当する事業であること。
a  国又は地方公共団体が行う事業
b  国又は地方公共団体が直接又は間接に経費の全部又は一部につき補助その他の助成を行う事業
c  農業改良資金助成法に基づき地方公共団体から資金の貸付けを受けて行う事業
d  農林漁業金融公庫から資金の貸付けを受けて行う事業

 

(3)農業生産力の高い農地

 

傾斜、土性その他の自然的条件からみてその近傍の標準的な農地を超える生産をあげることができると認められる農地。 なお、本項目に該当するかどうかの判定は、具体的にには市町村が独自に作成する資料、小作料の標準額を定める場合の農地区分ごとの収量、農業災害補償法の規定による基準収量その他の資料により総合的に判断する。

3.甲種農地

 

第1種農地の要件に該当する農地のうち市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地として次に掲げる要件のいずれかに該当するもの。

 

(1)おおむね10ヘククール以上の規模の一団の農地の区域内にある農地のうち、その区画の面積、形状、傾斜及び土性が高性能農業機械による営農に適するものと認められること。なお、「高性能農業機械による営農に適する」と認められるかどうかの判断は、「茨城県における特定高性能農業機械の導入に関する計画」におけるトラククー、コンバイン又は田植機の導入のためのほ場整備条件を目安とする。

 

(2) 特定土地改良事業等の施行に係る区域内にある農地のうち、当該事業の工事が完了した年度の翌年度から起算して8年を経過したもの以外のもの。ただし特定土地改良事業等のうち、農地を開発すること又は農地の形質に変更を加えることによって当該農地を改良し若しくは保全することを目的とする事業(いわゆる面的整備事業)で次に掲げる基準に適合するものの施行に係る区域内にあるものに限られる。

 

(ア)2.の(2)の(ア)のbからeまでに掲げる事業のいずれかに該当する事業であること。
(イ)次のいずれかに該当する事業であること。
a  国又は都道府県が行う事業
b  国又は都道府県が直接又は間接に経費の全部又は一部を補助する事業 なお、市街化調整区域は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、市街化を抑制すべき地域として定められたものであることから、そこにおける優良農地は極力保存しなければならない。 したがって、甲種農地に該当する農地は、第3種農地又は第2種農地の要件に該当する場合であっても、甲種農地として扱うこととされている。

 

4.第3種農地(甲種農地に該当する農地を除く。)

 

農用地区域内にある農地以外の農地であって、市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地のうち、次に掲げる区域内にあるもの。

 

(1)道路、下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況が次に掲げる程度に達している区域

 

(ア)水管、下水道管又はガス管のうち2種類以上が埋設されている道路(幅員4メートル以上の道及び建築基準法第42条第2項の指定を受けた道で現に一般交通の用に供されているものをいい、高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のものに限る。)及び農業用道路を除く。)の沿道の区域であって、容易にこれらの施設の便益を享受することができ、かつ、申請に係る農地又は採草放牧地からおおむね500メートル以内に2以上の教育施設(※1)、医療施設(※2)、その他(※3)の公共施設又は公益的施設が存すること。
※1  学校教育法で定める学校
※2  医療法で定める病院及び診療所
※3  日常生活に欠くことのできない施設で住宅等を誘致する性格の強い施設(県庁・市役所・町村役場・保育所)
(イ)申請に係る農地又は採草放牧地からおおむね300メートル以内に次に掲げる施設におけるそれぞれの(  )内に示す基準点のいずれかが存すること。
a  鉄道の駅、軌道の停車場又は船舶の発着場(基準点:改札ロ)
b  高速自動車国道その他の自動車のみの交通の用に供する道路(高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造のものに限る。)の出入口(基準点:一般道との接続地点)
c  都道府県庁、市・区・町村役場(支所を含む。)(基準点:核となる建物施設の出入ロ)
d  その他aからcまでに掲げる施設に類する施設 具体的には、「バスターミナル」が想定される。(基準点:核となる建物施設の出入ロ)

 

(2)宅地化の状況が次に掲げる程度に達している区域

 

(ア)住宅の用若しくは事業の用に供する施設又は公共施設若しくは公益的施設が連たんしていること。
※連たん…70 メートル未満に接続すること。
(イ)街区(道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によって区画された地域をいう。以下同じ。)の面積に占める宅地の面積の割合が40パーセントを超えていること。
(ウ)都市計画法第8条第1項第1号に規定する用途地域が定められていること(農業上の土地利用との調整が調ったものに限る。)

 

(3)土地区画整理法第2条第1項に規定する土地区画整理事業又はこれに準ずる事業として省令で定めるものの施行に係る区域

 

5.第2種農地(甲種農地又は第3種農地に該当する農地を除く。)

(1)農用地区域内にある農地以外の農地であって、第3種農地の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地のうち、次に揚げる区域内にあるもの

 

(ア)道路,下水道その他の公共施設又は鉄道の駅その他の公益的施設の整備の状況からみて④の(1)に掲げる区域に該当するものとなることが見込まれる区域として次に掲げるもの
a 相当数の街区を形成している区域(則第45条第1号)
b  ④の(1)の(イ)のa、c又はdに掲げる施設におけるそれぞれの(  )内に示す基準点の周囲おおむね500メートル(当該施設を中心とする半径500メートルの円で囲まれる区域の面積に占める当該区域内にある宅地の面積の割合が40パーセントを超える場合にあっては、その割合が40パーセントとなるまで当該施設を中心とする円の半径を延長したときの当該半径の長さ又は1キロメートルのいずれか短い距離)以内の区域
(イ)宅地化の状況からみて④の(2)に掲げる区域に該当するものとなることが見込まれる区域として、宅地化の状況が④の(2)の(ア)に掲げる程度に達している区域に近接する区域内にある農地の区域で、その規模がおおむね10ヘクタール未満であるもの(令第14条第2号、則第46条)

 

(2)農用地区域内にある農地以外の農地であって、甲種農地、第1種農地及び第3種農地のいずれの要件にも該当しない農地であり、具体的には、農業公共投資の対象となっていない小集団の生産性の低い農地等なお、本項目に該当するかどうかの判断に当たっては、たとえ小集団の農地であっても農業生産力の高い第1種農地に該当する場合(②の(c)参照)があるので、注意する必要がある。

 

6.判定

 

農地区分の判定に当たっては、次の点に留意する必要がある。
・  甲種農地の要件に該当する農地は、同時に第2種農地又は第3種農地の要件にも該当する場合であっても、甲種農地とする。
・  第3種農地の要件に該当する農地は,同時に第1種農地の要件に該当する場合であっても、第3種農地とする。
・  第2種農地のaの要件に該当する農地は、同時に第1種農地の要件に該当する場合であっても、第2種農地とする。
・  第2種農地のbは、他の農地区分のいずれにも該当しない農地とする。 したがって、農地区分の判定手順は次のとおりとなる。

 

(1)農用地区域内の農地であるか
(2)甲種農地に該当するか(市街化調整区域の場合)
(3)第3種農地に該当するか
(4)第2種農地のaに該当するか
(5)第1種農地に該当するか
(6)第2種農地のbと判断してよいか

相続などにより農地の権利を取得した場合は、「農地法第3条の3第1項の規定による届出書」を農業委員会へ届け出る必要があります。

農地について売買、賃借をする場合には、あらかじめ農業委員会の許可を受けなければならないこととされていますが、相続した場合には、当該許可は不要とされています(農地法第3条)。これが、法改正により、平成21年12月以降、農地を相続した場合に、事後、農業委員会にその旨を届け出なければならないこととされました(農地法第3条の3)。

届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は、10万円以下の過料に処せられます。

【届出が必要な権利取得】
(1)相続により権利を取得した場合
(2)遺産の分割、財産の分与に関する裁判(調停)、相続財産の分与に関する裁判によって権利を取得した場合
(3)包括遺贈により権利を取得した場合
(4)土地収用法、都市計画法、鉱業法による買受権により権利を取得した場合
(5)時効取得により権利を取得した場合
(6)法人の合併、分割等により権利を取得した場合

【届出の期間】
権利を取得したことを知った日から10か月以内

【届出方法】
農業委員会の窓口へ届出書を1部提出してください。

※この届出は農業委員会が農地の権利移動を把握するためのものです。権利取得の効力を発生させるものではありません。
※この届出は所有権移転登記に代わるものではありません。登記は別途必要です。

森林にいても法改正により平成24年4月以降売買又は相続等の原因如何に関わらず新たに森林の土地の所有者となった者は、事後、市町村にその旨を届け出なければならないこととされました(森林法10条の7の2)。

現在、農地・森林を相続した人のうち、1~2割は、不動産登記簿への登記、市町村や農業委員会への所有者変更の届け出、森林組合・農協への組合員変更の届け出、市町村資産税部局への相続人代表指定の届け出のいずれの手続きもしていません。

そのため、全国で所有者が分からない農地や森林が増えています。所有者が分からないために、農業や林業を集約化して効率を高めることが出来ない、企業やNPO等が国土の管理に新たに参入する上で支障となる、防災、災害復旧を行う際に支障が生じる、身元の知れない所有者による土地の放置等に対する地域の不安の増大など、様々な問題が発生しています。

自らが農地や森林の相続人であることを、相続時に初めて気づく人もいます。また、自らが相続人であることに気づいていない人も多くいると予想されます。

相続財産に森林や農地が含まれていないか以下の点をチェックしてください。

・遺品のなかに、農地や森林の権利書や固定資産税の納付書はありませんか。

・亡くなった方やその先代が、農山村に住んでいませんでしたか。あるいは一時的に住んでいたことがありませんか。

・相続財産のなかに、農山村の宅地が含まれていませんか。

・相続財産のなかに、農山村に位置する金融機関の預貯金がありませんか。

相続時に、亡くなった方が森林や農地を所有していたことを知っていても、他の財産は相続したいけれども、森林や農地は放置しておきたいという方も多いようです。そのような方も、せめて、誰かに売りたい、誰かに任せたいという意思表示を行政側にしておけば、行政側が所有者の所在を掴むことができます。後々その機会が訪れるかもしれません。そういう意味でも相続時の届出は必ず行ってください。

 

1.農地転用とは

農地の転用とは、「農地を農地以外のものにすること」をいいます。農地の所有者自らが転用を行う場合は、農地法第4条の許可、農地の権利移転や賃借権等の設定を伴う場合は、農地法第5条の許可が必要です。転用する農地の所在地が、市街化調整区域内か市街化区域内かで手続きが異なります。

具体的には、農地に区画形質の変更を加えて、住宅、店舗、工場、道路等の用地にする場合、農地をそのままの状態で資材置き場にする場合等、農地を耕作の目的に供されない状態にするこも農地転用に該当します。

また、温室等の農業用施設を建設する場合においても、コンクリートで地固めするような場合も農地転用に該当します。

2.許可の区分

農地法に基づく農地転用許可は、以下の要件により手続の方法が区分されています。

・自ら所有する農地を自分で農地以外に転用する
・農地を農地以外に転用する目的で,売買,賃貸借等をする場合
・転用する農地が都市計画法(昭和43年法律第100号)の規定による「市街化化区域」内であるか

 

 手続の方法区域区分  自己所有農地の転用  転用を目的とした農地の売買、賃貸借等
 市街化区域  法第4条第届出  法第5条第届出
 市街化区域以外  法第4条第許可  法第5条第許可

 

3.許可申請者

(1)法第4条第許可申請者

農地を転用しようとするものが申請者となります。

(2)法第5条第許可申請者

農地又は採草放牧地の所有者(譲渡人)と所有権等の権利を取得しようとする者(譲受人)両者の連署による共同申請となります。

4.許可権限

農地法第4条及び第5条の許可に係る許可権限については次のとおりです。

 

 区分  許可権者  分類
 許可  農林水産大臣(関東農政局)

 1.同一事業目的の4ha超(「地域整備法」を除く)の農地
 2.1.+採草放牧地

 知事  農業政策課

 1.同一事業目的の2haを超え4ha以下の農地
 2.地域整備法による場合
 3.1.又は2.+採草放牧地

 各農林事務所

 1.同一事業の2ha以下の農地
 2.採草放牧地のみ
 3.1.+採草放牧地

 権限移譲市の長
 (農業委員会)

 1.同一事業の2ha以下の農地
 2.採草放牧地のみ
 3.1.+採草放牧地

 届出  農業委員会  市街化区域内の農地又は採草放牧地

 

5.許可申請手続

(1)提出部数

・農林水産大臣許可権限の場合、関東農政局長あてに知事を経由し2部、農林事務所、農業委員会に写しを1部提出します。

・知事許可権限の場合、知事あてに農業委員会を経由して2部提出します。

(2)受付期間

農地転用申請は常時受け付けている訳でなく、市町村ごとに受付期間が設けられています。

①水戸市

・毎月21日から25日の間で許可申請を受け付け
・毎月13日の定例農地部会で審議

②ひたちなか市

・毎月21日から25日の間で許可申請を受け付け
・毎月10日前後の農業委員会総会で審議

③那珂市

・申請は随時受け付けていますが、各月ごとの締め切りは毎月18日
・毎月10日前後の農業委員会総会で審議

農地法3条は、農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。として農地又は採草放牧地の権利移動の制限が定められています。

この許可を受けずに権利移転を行っても、登記所で登記をすることができず、また許可を受けないでした行為はその効力を生じません。

1.農地法3条の意義

農地等の権利移動について農業委員会の許可制となっている理由は

(1)農地等が資産目的、投機目的などの好ましくない動機を持つものによって取得されることを防止する

(2)農地等が生産性の高い農業経営者によって効率的に利用され農業生産力の維持・拡大を図る

ことを目的としています。

2.農地等の定義

(1)農地とは、耕作の目的に供される土地をいいます。ここでいう耕作とは、土地に労働及び資本を投じ、肥培管理を行って作物を栽培することをいいます。耕作の目的に供される土地とは、現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような、休耕地、不耕作地も含まれます。

(2)採草放牧地とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいいます。耕作の事業のための採草とは、堆肥にする目的等での採草のことです。養畜の事業のための採草とは、飼料又は敷料にするための採草のことです。採草をしている土地であっても、牧草を播種し、施肥を行い、肥培管理して栽培しているような場合は農地となります。

農地、採草放牧地のいずれも耕作あるいは採草又は放牧に供されているかどうかという土地の現況に着目して判断するものであって、土地の登記簿の地目によって判断してはならないとされています。そして土地の現況が農地、採草放牧地であるときは、農地法の諸規制を適用することとしています。登記簿上の地目が山林、原野など農地以外のものになっていても現況が農地又は採草放牧地として利用されていれば農地法の諸規制を受けることになります。

3.許可申請者

個人または農業生産法人もしくは農業生産法人以外の法人が、農地等について、権利の設定または移転を使用とする場合が対象です。ただし、農業生産法人以外の法人は使用貸借による権利または賃借権の設定のみ可能です。
現状農作業に従事しているもの、または取得した農地を効率的に利用し農作業を行う能力のある者しか権利を得ることはできません。

4.許可権者

農地法3条の許可は全て当該土地のある市町村農業委員会の許可となります。

5.許可基準

原則として以下のいずれかに該当する場合は許可されません。ただし、例外的に許可できる場合もありますので、詳しくは管轄の農業委員会へ問い合わせてください。

(1)効率的な利用ができない場合

必要な機械の所有状況、農作業に従事する者の数等から見て、取得農地等を含むすべての農地等を効率的に利用して耕作すると認められない場合

(2)常時従事しない場合

農地の権利を得ようとする人またはその世帯員が、農業経営に必要な農作業に常時従事すると認められない場合
「常時従事」と認められる農作業従事日数は、年間150日以上とされています。

(3)下限面積に満たない場合

農地法の一部改正により、下限面積要件は令和5年4月1日から廃止されることになりました。

農地を農業生産力の弱い農家が取得することは農業生産力の増進や農地の効率的利用につながらないため、取得後の農業経営面積が下限面積に満たない場合は許可されません。下限面積は市町村により異なります。

水戸市:4,000m2

ひたちなか市、那珂市、東海村:5,000m2

(4)転貸する場合

所有権以外の権限(賃借権、使用貸借権による権利等)に基づいて耕作している人が、その土地をさらに第三者に転貸することは、権利関係がいたずらに複雑化し中間地主を認めることになるため、許可されません。

(5)周辺地域との調和に支障を生ずるおそれがある場合

周辺の地域における農地等の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合とは、例えば
①すでに集落営農や経営体により農地が面的にまとまった形で利用されている地域で、その利用を分断するような権利取得
②地域の農業者が一体となって水利調整を行っているような地域で、この水利調整に参加しない営農が行われることにより、他の農業者の農業水利が阻害されるような権利取得
③無農薬や減農薬での付加価値の高い作物の栽培の取り組みが行われている地域で、農薬使用による栽培がおこなわれることにより、地域でこれまで行われていた無農薬栽培棟が事実上困難になるような権利取得
④集落が一体となって特定の品目を生産している地域で、その品目に係る共同防除等の営農活動に支障が生ずる恐れがある権利取得
⑤地域の実勢の借賃に比べて極端に高額な借賃で賃貸借契約が締結され、周辺の地域における農地の一般的な借賃の著しい引き上げをもたらす恐れのある権利取得

6.申請書及び添付書類

(1)許可申請書

許可申請書を当該土地のある地町村農業委員会に1部提出します。法第3条お許可は全て当該土地のある地町村農業委員会の許可となります。

(2)許可申請書別紙

譲受人等の種別、個人・農業生産法人・農業生産法人以外の法人やその他の条件によって、必要な別紙が変わります。特に、別紙4を必要とする特殊事由がある場合には、その事由によっては許可申請書の項目のうち記載不要な項目があるので、最初に別紙4を確認のうえ許可申請書を記載する必要があります。

 書類  備考
 別紙1
下限面積・転貸の特例
 特例により許可を受けようとする場合
 別紙2
農業生産法人としての事業等の状況
 農業生産法人の場合
 別紙3
農業生産法人以外の法人等の事業等の状況
 農業生産法人以外の法人等で、法第3条3項の規定の適用を受けて当該権利を取得しようとする場合
 別紙4
特殊事由により申請する場合の記載事項
 その他特殊事由により許可を受けようとする場合

(3)添付書類

 申請種別  書類
 申請地関係  登記事項証明書
 申請人が権限者であることを証する書面
 その他参考となるべき書類
位置図および公図の写し等
 法人関係  定款または寄附行為の写し
 組合員名簿または株主名簿の写し
 農業生産法人の構成員とその法人との間で締結された契約書の写し
 農業生産法人の構成員であること証する書面
 乳用牛の事業等を行う法人で要件を満たしていることを証する書面
 市町村長の指定をうけたことを証する書面
 その他参考となるべき書類
農業経営受託規定、損益計算書の写し、総会議事録の写し等
 単独申請  売却決定の期日調書または特別売却調書の写し
 公正証書の写し
 判決書の写し
 和解調書または認諾調書の写し
 調停調書の写し
 家事審判所または調停調所の写し
 法第3条3項  契約書の写し
 その他参考となるべき書類
協定書の写し等
 その他  その他参考となるべき書類
耕作者証明書、農地基本台帳記載事項証明書、委任状等

7.権利を取得したことの届出

相続や時効取得など農地法の許可を要しない権利取得については、農地の所在する農業委員会に届出をしなくてはなりません。
権利を所得したことを知った時点からおおむね10ヶ月以内に、農業委員会に届出書を提出しなければなりません。届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合、10万円以下の過料に処せられることがあります。この届出は権利取得の効力を発生させるものではありません。所定の登記手続きは別に必要になります。
届出が必要な権利取得
(1)相続により権利を取得した場合
(2)遺産の分割、財産の分与に関する裁判(調停)、相続財産の分与に関する裁判によって権利を取得した場合
(3)包括遺贈により権利を取得した場合
(4)土地収用法、都市計画法、鉱業法による買受権により権利を取得した場合
(5)時効取得により権利を取得した場合
(6)法人の合併、分割等により権利を取得した場合

1.農地法とは

農地及び採草放牧地の取り扱いについて定めた法律で、昭和27年に農地調整法、自作農創設特別措置法等を統合した形で制定されました。

農地法については、平成21年に抜本改正が行われ、耕作者の農地取得の促進を基本的な考え方とするものから、農地転用規制を厳格化し、農業への新規参入を促進し、限りある農地を有効利用するために大幅に見直しされました。

2.目的

農地法1条により以下のように定められています。

「この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。 」

日本は国土が狭小で可住地面積が小さく、かつ、多くの人口を抱えています。もし農地の所有者が農地を勝手に宅地や雑種地にできてしまえば、農地はどんどん減っていってしまいます。食料供給・食糧自給に欠かすことができない農地を保護し、限られた農地が効率的に利用されるように定められた法律と言えます。

3.定義

農地とは、耕作の目的に供される土地をいいます。
採草放牧地とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいいます。
これらは、登記簿上の地目ではなく、事実状態で判断されます。

4.農地の権利移動の制限

農地法3条により、農地又は採草放牧地の権利移動の制限が定めれています。

農地法4条により、農地の転用の制限が定めれています。

農地法5条により、農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限が定めれています。