1.特殊車両通行許可とは
特殊車両通行許可とは、特殊車両が公道を通行するにあたり必要となる許可です。
特殊な車両とは車両の構造が特殊である車両、あるいは輸送する貨物が特殊な車両で、幅、長さ、高さおよび総重量のいずれかの一般的制限値を超えたり、橋、高架の道路、トンネル等で総重量、高さのいずれかの制限値を超える車両を「特殊な車両」といい、道路を通行するには特殊車両通行許可が必要になります。(道路法第47条の2)
2.一般的制限値
道路は一定の構造基準により造られています。そのため、道路法では道路の構造を守り、交通の危険を防ぐため、道路を通行する車両の大きさや重さの最高限度を次のとおり定めています。この最高限度のことを「一般的制限値」といいます。 (道路法第47条1項、車両制限令第3条)
車両の諸元 | 一般的制限値(最高限度) | |
---|---|---|
幅 | 2.5メートル | |
長さ | 12.0メートル | |
高さ | 3.8メートル | |
重さ | 総重量 | 20.0トン |
軸重 | 10.0トン | |
隣接軸重 | ・隣り合う車軸の軸距が1.8メートル未満 18.0トン (ただし、隣り合う車軸の軸距が1.3メートル以上、かつ隣り合う車軸の軸重がいずれも9.5トン以下のときは19トン) ・隣り合う車軸の軸距が1.8メートル以上 20.0トン |
|
輪荷重 | 5.0トン | |
最小回転半径 | 12.0メートル |
セミトレーラ連結車・フルトレーラ連結車は、通行する道路種別ごとに総重量および長さの特例が設けられています。(車両制限令第3条第2項)
(1)総重量の特例(車両の通行の許可の手続きを定める省令第1条の2)
バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ、または自動車の運搬用に限ります。
道路種別 | 最遠軸距 | 総重量の制限値 | 備考 |
---|---|---|---|
高速自動車国道 | 8m以上 9m未満 | 25トン | ※ |
9m以上 10m未満 | 26トン | ||
10m以上 11m未満 | 27トン | ||
11m以上 12m未満 | 29トン | ||
12m以上 13m未満 | 30トン | ||
13m以上 14m未満 | 32トン | ||
14m以上 15m未満 | 33トン | ||
15m以上 15.5m未満 | 35トン | ||
15.5m以上 | 36トン | ||
重さ指定道路 | 8m以上 9m未満 | 25トン | |
9m以上 10m未満 | 26トン | ||
10m以上 | 27トン | ||
その他の道路 | 8m以上 9m未満 | 24トン | |
9m以上 10m未満 | 25.5トン | ||
10m以上 | 27トン |
※首都高速道路、阪神高速道路、その他の都市高速道路および本州四国連絡橋道路は含まれません。
(2)長さの特例(車両制限令第3条3項)
道路種別 | 連結車 | 長さ | 備考 |
---|---|---|---|
高速自動車国道 | セミトレーラ連結車 | 16.5メートル | |
フルトレーラ連結車 | 18.0メートル |
※この特例は積載貨物が被けん引車の車体の前方または後方にはみ出していないものの長さです。
3.車両の構造が特殊である車両
車両の構造が特殊なため一般的制限値のいずれかが超える車両で、トラッククレーン等自走式建設機械、トレーラ連結車の特例5車種(バン型、タンク型、幌枠型、コンテナ用、自動車の運搬用)のほか、あおり型、スタンション型、船底型の追加3車種をいいます。
追加3車種については、「総重量の最高限度の特例」は適用されません。
4.輸送する貨物が特殊な車両
分割不可能のため、一般的制限値のいずれかを超える建設機械、大型発電機、電車の車体、電柱などの貨物をいいます。
5.新規格車
新規格車とは、高速自動車国道および重さ指定道路を自由に通行できる車両を言います。ただし、その他の道路を通行する場合は、特殊な車両として取り扱われ許可申請が必要です。新規格車が通行許可なく走れる場合とは、出発地が高速道路進入口に接している施設、または重さ指定道路に接している施設で、当茶地も高速道路進入口に接している施設、または重さ指定道路に接している施設だけです。車両の保管場所や事業場から重さ指定道路に出るまでの間に、一般国道、県道、市町村道などを通る場合は、通行許可が必要になります。
(1)新規格車の条件
①単車またはトレーラ連結車で特例の適用されない車種
総重量の制限
○最遠軸距 5.5m以上 7.0m未満の場合
総重量 22トン(ただし車長9.0m未満の場合を除く)
○最遠軸距 7.0m以上
総重量 25トン(ただし車長11m未満の場合は22トン車長9.0m未満の場合を除く)
総重量以外の制限
○一般的制限値と同様
②トレーラ連結車で特例の適用される車種
総重量の制限
○最遠軸距 8.0m以上 9.0m未満の場合
総重量 24トン超 25トン以下
○最遠軸距 9.0m以上 10.0m未満
総重量 25.5トン超 26トン以下
総重量以外の制限
○一般的制限値と同様
積載する貨物は分割できるものでもかまいません。
【20t超】のワッペンを車両の前面に貼ることになっています。
6.通行許可申請
特殊な車両を通行させようとするときには、通行しようとする道路の道路管理者に申請し、許可を得なければなりません。申請書類の作成方法並びに提出方法は以下の種類があります。
(1)オンライン申請
事務所や自宅などで、インターネットを利用して、パソコン画面を見ながら申請書の作成や、オンラインでの申請ができます。オンライン申請では、以下の利点があります。
①窓口に出向かなくても申請や許可証の交付が可能です。
②個別審査がない場合には、許可証発行までの期間が短縮されます。
③過去の申請データが利用でき、更新時などの申請書作成が簡素化されます。
④パソコン画面(地図画面)上で、通行経路を指定できます 。
⑤経路を選択しながら、事前に通行条件が分かります。
⑥自動車検査証の写しの添付が不要です。
⑦審査の進捗状況について、個別協議の状況を含めて、確認することができます。
(2)FD申請
CD-ROM 版を利用して、パソコン画面を見ながら申請書の作成や、フロッピーディスクへの記録ができます。申請は、出力された申請書類と申請情報を記録したフロッピーディスク(申請FD)を申請窓口に提出します。
(3)書面申請
申請には、次の書類が必要です。
書類名 | 作成部数 | 備考 |
---|---|---|
特殊車両通行許可申請書 (以下添付書類) |
1部 | |
車両に関する説明書 | 2部 | 新規格車については不要 |
通行経路表 | 2部 | |
経路図 | 2+申請車両数 | 新規格車についてのみ2部 |
自動車検査証の写し | 1部 | |
車両内訳書 | 2+申請車両数 |
出発地から目的地まで一つの道路管理者の道路のみを通行するときには、その管理者の窓口に申請します。
国土交通省が管理する一般国道と都道府県が管理する主要地方道などのように申請経路が複数の道路管理者にまたがるときには、いずれかの管理者の窓口に申請することができます。(ただし、政令市以外の市町村には申請できません)
7.手数料
通行経路が2以上の道路管理者にまたがるときは、原則として申請書が受け付けられた時点で手数料が必要になります。この手数料は、関係する道路管理者への協議等の経費で、実費を勘案して決められています。その額は、国の機関の窓口では200円(1経路)、県の窓口では、条令によって多少異なる場合があります。(道路法第47条の2第3項、第4項)
(1)手数料の計算方法
手数料の計算方法は
申請車両台数×(申請経路数)×200円と求めます。
申請車両台数は、トラックまたはトラクタの申請台数とします。
6ルートを申請する場合
6ルートを往復申請すると、申請経路数は12経路として扱われます。手数料は次のように計算します。
・ 申請車両台数が4台のとき
4台×(12経路)×200円=9,600円
なお、片道申請の場合は、申請経路は6経路として扱われます。
(2)新規格車の通行許可申請の場合
新規格車の通行許可申請の場合は、高速自動車国道及び重さ指定道路を除いた区間の道路管理者が2つ以上にまたがる時、手数料が必要となります。